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八条学園騒動記

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第五百五十七話 昔ながらのラーメンその九

「残ってるのよ」
「冗談抜きで凄いわね」
「おつゆの匂いはいいけれど」
「そのおつゆの味も」
「だから麺が最初からのびていて」
 そしてというのだ。
「鴨そばに玉葱を入れている」
「そんな風なら」
「おつゆの味もね」 
 これもというのだ。
「わかるでしょ」
「まずいのね」
「全体的にまずくて」
「後味の残るまずさね」
「今言った通りにね」
 実際にというのだ。
「だから二度と行ってないの」
「よく暴れるお客さん出ないわね」
「あまりものまずさに」
「お話聞いてたら最悪じゃない」
「だからチェーン店の方がね」
「いいのね」
「チェーン店って何処でも同じ味でしょ」
 この時代でもチェーン店はそうした味でありそれがまた売りでもある。
「安定感あるでしょ」
「そこそこの味でね」
「そう、何処も同じ味だけれど」
 それでもというのだ。
「そこそこの美味しさ」
「そこポイント高いわね」
「だからチェーン店もいいのよ」
「そうよね」
「だからそうしたお店よりも」
「チェーン店の方がいいのね」
「だって本当にまずかったから」
 ティンが言うことはそれに尽きた。
「それで言うのよ」
「そうなのね」
「私もね」
「わかりやすいわね」
「それで学生食堂と比べても」
「まずかったのね」
「学生食堂も」
 今自分達がいる店にしてもそうだがというのだ。
「まずいところないでしょ」
「少なくともこの学園ではそうね」
「本当にね、あそこまでのまずさは」
「なかったのね」
「だってね、普通のまずさじゃなくて」
 ティンはそのまずさについてまた話した。
「後味の残る」
「そんなまずさだったから」
「余計に思うのよ」
「まあまずくてもね」
 春香も話した。
「普通後味の残るまずさはね」
「ないでしょ」
「私もそこまでのまずさは知らないわ」
「正直知らない方がいいわ」
 ティンは春香に返した。
「そんなまずさは」
「その方が幸せってことね」
「絶対にね、間違ってもね」 
 それこそというのだ。
「出した時点で麺が最初からのびていて鴨そばに玉葱とか」
「問題外ね」
「あんた自分の作ったお料理食べたことあるのか」
「そう聞きたくなる位にまずかったの」
「本当にね、しかもそのまずさで」
「代々、五十年続いている」
「訳がわからないわ」
 ティンは首を傾げさせて話した。
「正直ね」
「後味の残るまずさで続いているのは」
「何でも近所でも評判のまずさらしいわ」
「ああ、やっぱりね」
 春香はその話には納得した、後味が残る様なまずさならばその店の近辺で話題にならない方がおかしいというのだ。 
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