八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二百六十四話 予感その九
「それでもです」
「左様ですね」
「やる時はやります」
やる気がないと手を抜くタイプではあるけれどだ。
「そうした親父です、しかも」
「総帥がですね」
「力を貸してくれるなら」
「もう問題はないですね」
「あの人程凄い人はいないです」
僕は言い切った。
「僕の知る限り」
「私もです、あの方は私より年齢は一つ上ですが」
「もうかなりのお歳でも」
「まだ矍鑠たるもので」
八条家で働いてくれている人の中で最高齢であることは間違いない畑中さんから見てもだ、多分畑中さんは世界中にいるグループの従業員の人達でも最高齢だ。
「そしてお心もです」
「確かですね」
「そしてお力も」
「八条家の総帥ですから」
「世界も動かせます」
世界経済は言うまでもなくだ。
「そうした方ですから」
「大丈夫ですね」
「そう思います」
「左様ですね、ですから」
「それで、ですね」
「ご安心下さい」
今回のことはというのだ。
「是非」
「では」
「そうですね、じゃあ暫くは」
「この神戸で」
つまりこの街でというのだ。
「いて下さい」
「それでは」
「そして今日からですが」
「今日からといいますと」
「もうです」
それこそとだ、僕にお話してくれた。
「暖かくされて下さい」
「そうですね、寒くなりますから」
「もう今日からです」
「今日からですか」
「それこそです」
まさにというのだ。
「冷えますので」
「だからですね」
「もうです」
「暖かくして」
「そしてです」
そうしてというのだ。
「過ごされて下さい」
「そうさせてもらいます」
「それでは」
「冬はもう来るんですね」
「そうです、冬になって」
それでとだ、僕に話してくれた。
「雪が降ります」
「そうですよね」
「東京のお話をご存知でしょうか」
「東京、ですか」
「はい、あの街の雪のお話を」
「確か」
東京の雪と聞いてだ、僕は言った。
「赤穂浪士の討ち入りは雪の時でしたね」
「その夜に七十七士が討ち入りを行い」
「それで吉良上野介を討ち取りましたね」
「はい、そして桜田門外の変の時も」
その時もというのだ。
「あの時もです」
「雪でしたね」
「雪の降るその時にでした」
「井伊直弼は襲撃を受けましたね」
「そして首を取られました」
「文化祭でも紹介されていました」
井伊直弼を徹底的に悪く書いたうえでだ、とにかくこの人の評判は悪い。あそこまで嫌われるのもある意味才能だとつくづく思う。
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