八条学園騒動記
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第五百五十七話 昔ながらのラーメンその一
昔ながらのラーメン
ティンが学園の中にある日本の中華料理店に行くとだった、店の暖簾を潜る時に春香と出会って彼女に言った。
「あれっ、あんた確か」
「ええ、朴春香よ」
「そうよね、同じ美化委員会の」
「何度か会ってるわね」
「そうだったわね」
「あんた今日はここで食べるつもりなの」
「そうよ」
ティンは春香にこう答えた。
「そのつもりよ」
「そうなのね、実は私もね」
「あんたもなの」
「ここのラーメン美味しいって聞いて」
それでというのだ。
「ここに来たの」
「そうなのね」
「ラーメンに」
春香はさらに言った。
「炒飯に焼き餃子にね」
「あとレバニラもよね」
「美味しいっていうから」
「ひょっとしてガイドブック読んだの?」
ティンは春香に自分のことから尋ねた。
「それでなの」
「あれっ、貴女もなの」
「昨日読んでね」
そのガイドブックをとだ、ティンは話した。話をしつつやはり二十世紀の日本の中華料理店を思わせる店の中に入った。
品書きは壁に書かれている、ラーメンにチャーシューメン、ワンタン麺等があり餃子や炒飯、酢豚、レバニラ炒め等もある。
そして店全体に胡椒やラー油の匂いがする、ティンは春香と共に開いているカウンターの席に並んで座った。
そのうえでだ、それぞれラーメンと餃子、そしてレバニラ炒めを頼んで言った。
「じゃあね」
「ええ、今からね」
「食べましょう」
「炒飯は頼まなかったわね」
「だってラーメンにね」
これに加えてというのだ。
「焼き餃子にレバニラって」
「三品頼んだから」
「もうね」
「お腹一杯になるから」
「だからね」
それでとだ、ティンは話した。
「今日はね」
「炒飯抜きね」
「炒飯はね」
それはというと。
「若しもよ」
「食べられたら」
「そう考えてるし」
「それ私と同じね」
「そうね、じゃあね」
「まずはね」
「ラーメン食べましょう」
第一目標であるそれを食べようと話してだ、そのうえで。
ティンは春香と共にまずはラーメンを前にした、透明感のある褐色の油が浮かんでいるスープの中に縮れた麺があり。
もやしや刻んだ葱、渦巻きナルトにチャーシューそして海苔がある。鍋の縁には伝統の中華模様がある。
そのラーメンを見てだった、ティンは言った。
「何ていうかね」
「どうしたの?」
「いや、古典的な」
まさにというのだ。
「そんな感じがするわね」
「ずっとあるラーメンだけれど」
「それでもね」
このラーメンはというのだ。
「案外あるお店少ないわよね」
「ここまで典型的なラーメンはね」
「日本でもね」
「韓国だとね」
春香はお国の話をした。
ページ上へ戻る