八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第二百六十四話 予感その二
「ですから」
「そうした季節はあまり縁がないですね」
「幸いなことに」
「本当にいいことですね」
「はい、ですが神戸の冬が寒いのも事実で」
「それで、ですよね」
「そこは用心して」
そのうえでというのだ。
「八条荘もその寒さへの対策は充分です」
「冬は暖かいですね」
「そうしていますので」
「快適に過ごせますか」
「そこはご安心下さい」
「有り難いですね、八条荘って暑い国からの人が多いですからね」
東南アジアやブラジルだ、本当にそうした国の人が多いからだ。
「暖かいと」
「まことにいいですね」
「そう思います」
「それでは、後です」
「後?」
「止様ですが」
畑中さんは今度は親父のことを言ってきた。
「間もなく帰国されるかも知れないです」
「そうなんですか」
「はい、若しかするとですが」
「仕事ですか?」
「お仕事といえばそうなります」
畑中さんのこの返事はわからなかった、一体どういう意味なのかと思った。それで僕は畑中さんにすぐに問い返した。
「それどういう意味ですか?」
「はい、お医者様としてのお仕事ではなく」
「そういうのじゃなくて」
「止様ご自身のです」
「仕事ですか」
「長年果たそうとしておられたものでして」
「長年ですか」
そう言われても僕にはわからなかった、それで首を傾げさせた。
「一体」
「今はお話出来ないですが」
「それでもですか」
「機が来れば詳しくお話します」
「わかりました」
畑中さんの行動は常に先の先まで広く見ている、そして嘘も言わない、僕はその畑中さんを信じて頷いた。
「では」
「それならですね」
「はい」
まさにというのだ。
「宜しくお願いします」
「それでは」
「何か大きなことが起こるのはわかりました」
詳しいことはわからなくてもだ。
「僕にも関係あるかはわからないですが」
「それもです」
「またですね」
「お話させてもらいます」
「とにかく今はですか」
「止様は若しかするとです」
「大きな仕事をする為に」
まさにとだ、僕も言った。
「帰国しますか」
「そうかも知れないです」
「まだそれはわかっていないんですね」
「ですから確かなこともです」
それもというのだ。
「言えないです」
「そういうことですね」
「そしてかなり重要なお話なので」
「そのこともあって」
「はい」
それでというのだ。
「今は秘密にさせてもらいます」
「そういうことですね」
「そうです、ただ」
「ただ?」
「悪事は隠しても必ず明るみになり」
そうしてというのだ。
ページ上へ戻る