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八条学園騒動記

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第五百五十六話 ガイドブックその九

「それって」
「ティンもそう思うね」
「連合とエウロパなんてね」
「もう千年以上いがみ合っていて」
「戦争もしてるしね」
 エウロパ戦役、これもあったというのだ。
「ブラウベルグの時なんかね」
「こっちは何百回って暗殺計画立ててね」
「実行に移したわよね」
「腹立つことに生き残ったけれど」
 ピーターのこの言葉にもうエウロパへの感情が出ていた。
「まあそれ以前からね」
「嫌い合ってね」
「憎み合って」
 そうなってきてというのだ。
「それで千年以上だから」
「おいそれとはね」
「なくならないよ」
 双方の対立はというのだ。
「まずね」
「そうよね」
「何十世代かかっても」
「お互い仲の悪いままね」
「そうだよ、連合とエウロパは」
「そもそも仲良くなるつもりないし」
「大体ね、向こうもね」
 エウロパの方もというのだ。
「絶対にそんなつもりないし」
「それ断言出来るわよね」
「こんなに嫌い合ってるのに」
 そうだというのに、というのだ。
「今からね」
「何十世代かかってもね」
「仲良くなるとか」
 それはというのだ。
「もうね」
「ないわね」
「国交もないしね」
「そうそう、というか」
 ティンはガイドブックを読んでまた言った。
「エウロパ料理のお店はあっても」
「イタリアとかスペインとかね」
「ドイツとかフランスも」
「連合のアレンジが入ってね」
「それで美味しくなってるわね」
「そうだよね」
「エウロパ料理って味薄いのよね」
 ティンはガイドブックのスペイン料理、パエリアの紹介を見つつ話した。そこには様々な種類のパエリアが画像付きで紹介されている。
「パエリアにしても」
「素材の味を大事にするとか言ってね」
「味付け薄いのよね」
「そうみたいだね」
「味がない位っていうから」
 それこそとだ、ティンは言った。
「もうね」
「ティンとしてはだね」
「あまり食べたくないわね」
 こう言うのだった。
「正直ね」
「それは僕も思うよ」
 ピーターにしてもだった。
「やっぱり味付けはね」
「はっきりしたものでないと」
「そんな素材の味を大事にするとか言って」
「ちゃんとした味付けしないとね」
「まずいよ
「そうよね」
 ティンは兄のその言葉に同意して頷いた。
「やっぱり」
「絶対にね」
「ラーメンもないわよね」
「ないよ、カレーはあってもね」
「マウリア料理だからよね」
「マウリア人はエウロパにもいるからね」
 それも各国にだ、勿論不法移民も多い。 
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