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八条学園騒動記

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第五百五十六話 ガイドブックその二

「そこで美味しいお店チェック出来るわよ」
「それでそのお店もだね」
「ちゃんとね」 
 まさにというのだ。
「載ってるわよ」
「しかも高評価なんだ」
「あっ、低評価のお店ないから」
「そうなんだ」
「実際この学園まずいお店はね」
 それはというのだ。
「ないし」
「そうなんだ」
「出してる人も言い切ってるわ」
 その公式ガイドブックをというのだ、そしてカトリはピーターにこの人のことも話した。実は彼女も結構乗って話している。
「学園に代々住んでいて悪魔博士の協力も得て書いてるって」
「悪魔博士って」
「そう、大学の教授さんでね」
「うちの大学の生き字引って言われてるね」
「噂知ってるわよね、あの人の」 
 ここでだ、ピーターに携帯とはいえ無意識のうちに囁いた。
「百二十年大学にいるって」
「ええと、十八歳で入学して」
「そこから百二十年となると」
「あの人百三十八歳かな」
「物凄い高齢でしょ」
「平均年齢百歳でも」
 それでもとだ、ピーターは話した。
「百三十八歳って」
「物凄い長生きでしょ」
「うん、ちょっとない位にね」
「そんな人らしいのよ」
「本当のお話かな」
「さあ。ただ百歳超えてるのは事実みたいよ」 
 尚カトリもこの博士の話が実は二十世紀から存在していることは知らない、その頃からの話であることを。
「あと研究室はね」
「異次元みたいになっていて」
「本棚が何処までも続いていて」
 それでというのだ。
「妖怪さん達が一杯いるって」
「信じられないお話になってるね」
「ええ、けれど」
「その博士もなんだ」
「ガイドブック設定に協力してくれていて」
 それでというのだ。
「凄くしっかりした本なのよ」
「それでなんだ」
「弩のお店も高評価なのよ」
「学園で出してるから悪口書かないとか」
「それもあるでしょうね」 
 カトリはこのことは否定しなかった。
「雑誌の編集さんも嫌いな雑誌アンケートで自社の作品出ててもコメントでその作品のこと書かないでしょ」
「何か適当なこと書いてね」
「悪口書かないわね」
「好きな漫画だったら物凄く書くけれどね」
 それでもというのだ。
「悪口はね」
「もうね」
 それこそというのだ。
「自社のものはけなさない」
「企業の基本だね」
「かといっても他社のをけなすのもね」
「露骨でね」
「どうかってなるけれど」
「それでなんだ」
「悪口は一切書いてないわよ」
 そこはというのだ。
「本当にね」
「そうなんだ」
「けれど実際どのお店もいいみたいよ」
 そうした学園公式だけあって学園の店を悪く書かないという風潮はあってもというのだ。
「だからね」
「そのお店もだね」
「期待しててね」
 そうしてもというのだ。 
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