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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二百六十二話 夜の屋上でその十

「結核で余命幾許もなくて」
「その中でヒロポン打ってよね」
「必死に書いていたんだ」
「死ぬまでそうしていたのよね」
「それで若くして亡くなったよ」
 もうこの人は結核で若くして亡くなることが決まっていた、当時結核はそうした病気であったからだ。
「命を燃やし尽くしてね」
「死にそうな中を必死に書いて」
「その残り少ない命を必死に引き出したんじゃないかな」
 ヒロポン、覚醒剤で無理にだ。
「そうして書き続けて」
「それでよね」
「死んだんだよ」
「そうよね」
「そうした人もいたけれど」
「特殊な例よね」
「当時は合法だったしね」
 幾ら危なくてもだ。
「やったらよくないけれど」
「合法ならいいのね」
「まあ僕は法律抜きでも」
 麻薬に関してはだ。
「やったら駄目だと思うけれどね」
「身体にも心にも悪いから」
「だからね、煙草も二十歳になっても吸わないよ」
「そのつもりなのね」
「あれも身体に悪いから」
 それもかなりだ。
「流石に麻薬とは違うけれどね」
「それでも身体に悪いから」
「吸わないことにしているよ」
「一生なのね」
「うん、太宰治は肺が悪くても煙草吸ってたけれど」
 芥川龍之介もだ、二人共ヘビースモーカーだったみたいだ。太宰が吸っていたのはゴールデンバットという柄だった。
「よくないからね」
「絶対によね」
「そうだよ、肺が悪いのに吸ったら」
 しかも結核だった、太宰は。
「各自に悪化するからね」
「それは自明の理よね」
「太宰が医学に詳しいかは別にして」
「当時も煙草は身体に悪いってわかってたわよね」
「そうだった筈だよ、だから肺が悪いと」
「駄目ね」
「それがわかってるなら」
 それこそだ。
「吸ったら駄目だよ」
「そうよね」
「けれどまだ煙草はいいにしても」
「麻薬は合法でも」
「手を出したら駄目だよ」
 国によっては合法の国はある、オランダとかカナダだ。そしてうちの学園にはこうした国々からも人が来ている。
「何があってもね」
「義和はそこは厳しいのね」
「だってね、覚醒剤のお話を聞いたら」
 どうしてもだ。
「怖かったから」
「中毒とか禁断の症状の人のお話ね」
「もう下手なほらー小説より怖いよ」
 それこそだ。
「だからね」
「しないことに限るのね」
「あるプロ野球選手なんか」
 元だ、現役時代番長とか言われて得意になっていたどう見ても頭がいいとは思えない下品な人だった。
「俺が稼いだ五十億何処行ったって言ってたけれど」
「あの人その覚醒剤で捕まってたわね」
「覚醒剤にかなり消えたみたいだよ」
「馬鹿なことにお金使ったわね」
「他にも遊びまくって」
 糖尿病で血糖値が九百になったという、親父が言うにはそれはもう緊急入院レベルで相当酷い生活をしないとならないらしい。 
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