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ヘタリア大帝国

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TURN35 マレー侵攻の前にその八

「日本軍に入られたのですね」
「スカウトされてね」
「あたしは。まあそれがルールだしね」
 捕虜になりたくなければ敵軍に入る、この世界でのルールに従ってだ。キャシーは日本軍に加わったのだ。
「それで今は日本軍にいるのよ」
「そういうことだよ」
 二人もこうタイに話す。
「で、それでだけれど」
「長官と日本さんに用があるって?」
「はい、そうです」
 穏やかに微笑んだままだ。また言うタイだった。
「それでどちらにおられますか」
「うん。長門にいるよ」
「日本さんも今確かそこだよ」
 長門の艦橋は日本海軍の総司令部になっている。それでなのだ。
「じゃあ今から案内する?」
「そうしようかい?」
「お願いします」
 タイは微笑んで二人の好意を受けた。そうしてだった。
 タイは東郷、そして日本の下に向かうのだった。これがまた世界を大きく動かすことになる。
 日本はまさに破竹の進撃だった。そのことについてだ。
 ドイツはレーティアの前でだ。こう述べていた。
「今のところ日本帝国軍は順調だ」
「そうだな。まさにな」
「このままいけばマレーも手に入れられるとのことだが」
「そこまではいけるだろう」
 レーティアは淡々としてドイツに答える。
「マレーまではな。そして四国まではな」
「しかしだ」
「そうだ、しかしだ」
 そこまでだという意味だった。レーティアの今の言葉は。
「そこで終わりだ」
「進撃は止まるか」
「戦力、いや国力がない」
 日本の弱点もだ。レーティアは把握していた。そのうえでの言葉だ。
「インドまで行けるかというと」
「危ういか」
「その為にエルミーを向かわせたが」
 だがそれでもだというのだ。
「果たしてな。潜水艦を使いこなせるか」
「それにかかっているか」
「使いこなせてもやはりインドやアラビアまでは攻められるが」
 だが、だというのだ。
「ハワイ、ガメリカとの戦いではだ」
「敗れるか」
「間違いなくな。ハワイは難攻不落だ」
 ガメリカ軍の太平洋における最大の軍事拠点だ。艦隊が多いだけではない。
 防衛兵器も多い。だからだった。
「日本軍がどれだけ頑張ろうともだ」
「無理か」
「そこで敗れる」
 レーティアはそのことを確実視していた。
「後は雪崩を打って敗れていく」
「そして終わりか」
「そうなる。だから我々としてはだ」
 ドクツとしてどうするのか。レーティアは本題に入った。
「日本がガメリカに敗れる前に為すべきことをしておこう」
「バルバロッサ作戦か」
「日本の降伏までにソビエトを倒す」
 レーティアは言い切った。
「そして東欧とユーラシアの大部分を領有してだ」
「次に再びか」
「アシカ作戦だ。エイリスを倒す」
「あの国を倒しそして」
「ソビエトとエイリスを倒しその全ての星域を領有すれば世界の半分になる」
 それだけのものがあった。その両国を倒せば。
「おそらく日本はガメリカに降伏させられればだ」
「どうなる。あの国は」
「我々への尖兵になる」
 ガメリカとしてはソビエトのそれにするつもりだが相手が違うだけだった。
 
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