八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二百六十話 炎を見ながらその六
「この殿様はね」
「何でも頷いて」
「そうせいでね」
「終わらせたからよかったのよね」
「これが井伊直弼さんだと」
もうそれこそだ。
「自分と考えが違うとね」
「片っ端から粛清ね」
「安政の大獄そのままのことをして」
「藩は大変なことになるわね」
「水戸藩みたいにね」
幕末に最初に出てきた藩だったけれど内紛が頻発して互いに殺し合ってその結果誰もいなくなった。
「そうなるから」
「そういえば水戸藩を扱ったクラスあったわね」
「苦い感じで書いてたよね」
「何かとね」
壁新聞形式で水戸藩のことを書いていた。
「そして実際にね」
「誰もいなくなったわね」
「水戸藩はね」
「それで井伊直弼さんが大きな藩の殿様だったら」
「やっぱりね」
完璧主義が悪い方に出てだ。
「その藩滅茶苦茶にしてたわ」
「そうなっていたのね」
「土佐藩もそうしたことしたけれど」
それで武市半平太さんが切腹させられている。
「まだましだったから」
「井伊直弼さんや水戸藩よりも」
「まだね、色々悪く書かれる場合もあるけれど」
龍馬さんが主役の場合はだ。
「中心にいた人達が悪い人達じゃなかったし」
「後藤さんとか板垣さんとか」
「そうだったしね」
「土佐藩はまだましなのね」
「そう思うよ、というか井伊直弼さんは本当に悪役だね」
このことをつくづく思う。
「タイプ全然違うけれど三国志じゃ董卓みたいだよ」
「ああ、董卓ね」
「序盤に出て来て暗殺されるしね」
「そこは一緒ね」
「しかも最大の悪役だし」
幕末そして維新のだ。
「そう思うとね」
「井伊直弼さんは董卓のポジションね」
「性格や行動は全然違うけれど」
董卓は酒池肉林を楽しみ暴虐の限りを尽くした感じだ、欲望剥き出しで残虐非道という理想的な悪役だ。
けれど井伊直弼さんは欲望自体はないし刑罰は無茶苦茶酷いけれど残虐非道かというとそうではない。道を間違えた人だ。
それでも二人の共通点はあると思って詩織さんに話した。
「序盤に出て暗殺される独裁者」
「暴君ね」
「それで沢山の人を殺してね」
「傲慢ね」
「そうした要素は一緒かな」
不思議とだ。
「それで死んで喜ばれる」
「今も不人気で」
「そうしたところはね」
どうにもだ。
「一緒に思えるよ」
「性格や行動は全然違っても」
「うん、不思議とね」
「私的には董卓はね」
詩織さんはこちらの人の話をしてきた。
「絶対にいて欲しくないわね」
「もう極悪非道だからね」
「絵に描いた様な悪党よね」
「うん、欲望まみれで残虐でね」
「やりたい放題やるから」
「まさに最大の悪役だよ」
三国志においてだ。
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