| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

夢幻水滸伝

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第百二十四話 台風とその十五

「何があろうともだ」
「果たしてくれるんやな」
「必ずな、やらせてもらう」
「ほなな、日本はほんまに覇権争う勢力では最小やが」
「兵の数ではな」
 このことは否定出来ない、事実であるからこそ。
「図抜けて劣っている」
「そや、しかしな」
 それでもとだ、中里はさらに話した。
「最強や」
「最小にしてだな」
「そや、最強の精兵とな」
「我々がいる」
「兵の劣勢それで行って戦うで」
「ではな」
「さて、やってやるか」
 幸田もいる、それで威勢のいい笑顔で言うのだった。
「おいらはこの時を待っていたんでい」
「戦の時をやな」
「火事と喧嘩は江戸の華っていうだろ」
「そして戦はやな」
「その両方があるな」 
 まさにというのだ。
「一番の華よ、民に迷惑をかけちゃいけねえが」
「それでもやな」
「やる時はな」
「その華をやな」
「思う存分な」
 それこそというのだ。
「やってやるぜ」
「期待してるぜ、全員な」
「ああ、しかしな」
「しかし?どないしたんや」
「もう皆飯は食ったよな」
 ここでだ、幸田はこのことを確認した。
「そうだよな」
「ああ、自分も食ったやろ」
「当たり前だろ、お握りと味噌汁それに漬物をな」
 そうしたものをというのだ。
「食ったぜ」
「それならええ、とにかくな」
「飯は食わねえとな」
「戦どころやないわ」
 それこそというのだ。
「それやら全員に食わせた」
「戦の前にだな」
「一刻前にな」
 即ち二時間前にというのだ。
「自分もやろ」
「いや、おいらは一時間前だぜ」
「半刻前か」
「やることがあったからな」
 だからだというのだ。
「軍勢の細部までの点検でな」
「それでか」
「皆より一時間程遅れてな」
 そうしてというのだ。
「食ったんだよ」
「そやったか」
「麦飯のお握り美味かったぜ」
「麦飯はいいと思いますよ」
 麻友が笑顔で言ってきた。
「美味しくて身体にいいので」
「麻友ちゃんの提案でそうしたな」
「はい、棟梁さんが」
 日毬がとだ、麻友は中里に明るい笑顔で話した。
「日露戦争の様にしようと」
「戦の前にはな」
「はい、白米よりもですね」
「麦飯やな」
「こうした時は」
 戦の前にはというのだ。
「それで実際にです」
「栄養補給にええな」
「ですから」
 それでというのだ。
「皆さん美味しく食べてくれて何よりです」
「麦飯食ってると脚気にならねえんだったな」
 幸田は麻友にこのことを尋ねた。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧