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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二百五十九話 思わぬ人その十一

「まさに」
「それでもよ」
「相反するものを一緒に持っているんだ」
「それも人間Þってことでしょ」
「まあね、人間は矛盾するものだってね」
 善と悪、優しさと残酷さを併せ持っているものだ。言うなら人間は天使と悪魔が心の中に同時に存在しているものだ。
「言うね」
「そうよね」
「素晴らしい人も滅多にいないけれど」
 それこそ天使みたいなだ。
「邪悪な人もね」
「滅多にいないでしょ」
「テレビの世界では結構いる気がするけれど」
 キャスターなりコメンテーターなりにだ、ある東大教授なんてこれまでずっと生きてきて北朝鮮におもねってきて帰国事業で多くの人を北朝鮮という地獄に送ってきて今も日本がどうとか批判している。じゃあ自分のこれまでの行いはどうなのかと聞きたい。あそこまでいくと奸賊じゃないかとさえ思う。
「それでもね」
「そうしたものでしょ」
「物凄い高潔な人も少なくて」
 それもとてもな」
「どうしようもない外道もね」
「滅多にいないでしょ」
「そうだね、外道の方が少ないから」
 高潔な人よりもだ。
「実際ね」
「極端な悪人はね」
「案外いないわね」
「いるにはいても」
 北九州で起こった監禁事件の主犯みたいなこの世に生きていること自体が最悪の害毒である奴よりもいるにはいるけれどだ。
「幕末でもね」
「そんな人いないわね」
「良心の欠片もない悪党はね」
「幕末でもいなかったわね」
「井伊直弼さんは悪役だけれど」
 もう幕末から維新にかけて最大の悪役だと思う。
「あの人でもね」
「良心がないか」
「良心はあったから」
「幕府への忠義よね」
「それと朱子学の倫理観だね」
「そういうのが強くて」
 学問にずっと励んでいただけにだ。
「倫理観は強かったんだ」
「時代が読めなかっただけね」
「あと完璧主義だったから」
 そして潔癖症だったみたいだ。
「そのせいでああなっただけでね」
「良心がないんじゃないのね」
「うん、まあいい上司じゃなかったみたいだけれど」
 大老としてもだ。
「色々五月蠅くて」
「嫌な上司ではあったのね」
「そう、けれどね」
「良心はあったのね」
「サイコ殺人鬼とかじゃなかったから」
「また違うのね」
「道を間違った人だったと思うよ」 
 井伊直弼という人はそうだったと思う、このことはこの人に仕えた長野主膳もだと思う。確かに安政の大獄ではとんでもないことをしたけれど。
「まあ僕はあの人嫌いだけれどね」
「というか好きな人いないわね」
「そんな人だね」
「けれど外道ではなかったのね」
「そうなんだ、まあ幕末とか維新は極端な善人もね」
 そう言っていい人もだ。
「いなかったけれどね」
「結構色々悪いこともしてるのよね」
「切った張っただったからね」
 この時代はだ。
「どうしてもね」
「皆悪いこともしてたりするのね」
「暗殺とかね」
「あっ、西郷さんも」
「あの人凄い人だけれど」
 英傑、そう言っていい器の人だった。
「暗殺の指示もね」
「出していたわね」
「だから坂本龍馬暗殺の黒幕も」
 このことについてもだ。
「言われているんだよね」
「あれ京都見廻組がしたんでしょ」
「その説が有力でもね」
 それでもだ。
「そうした説もあるんだよね」
「そうなのね」
「伊藤博文さんは自分が刺客だったみたいだし」
 そうして人を切ったこともあるらしい。 
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