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真恋姫を駆けた男

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別の世界に転生したんだって・・・

~真紅狼side~
「おう?!ここはどこだ・・?」
「神の領域じゃ。」
「よう、じいさん。あってすぐに言いたいことあるんだけど、言ってもいいか?」
「・・・それは勘弁してh「却下」」
「俺をどこに飛ばした?」
「スマン、転生先まちがえてしもうた。」
「・・・・どこに飛ばした?」
「“真 恋姫無双”っていう世界じゃ。」
「なにそれ?」
「三国志は知っとるじゃろ?」
「ああ、魏、呉、蜀のことだろ?」
「そうじゃ。お主のいるところはそれじゃ!」
「・・・は?」
「なんじゃが、それは本来の三国志とは少し違うようじゃ。」
「どこが違うんだ?」
「なんでも、その世界は“外史”と呼ばれているらしい。」
「“外史”ってなに?」
「異世界(パラレルワールド)というものらしいぞ、今回は有名な武将がすべて女らしい。」
マジかよ。全員女か・・・。男の立場低そうだな。


「じゃ、次だ。俺の体が縮んだのは?」
「うむ。正規な方法で転生しなかったのが原因で転生したときに法則が乱れたようじゃ。」
つまり、あれか。


宇宙の法則が乱れ始めた!!      『アルマゲスト』!!


でも、俺はくらったのか?


「一応成長はするんだよな?」
「ああ、成長するが、21歳までな。そこからは肉体の成長は止まるがの。」
「ああ、さいですか。」
「あと、そうじゃ。能力の一部が今使用不能になっておる。」
「え、どれが?」
「まず、鋼糸の使用が不可じゃが、刀の方は・・・大丈夫じゃ。あとは魔法じゃな。これは全て使用不可だ。17歳を超えれば、鋼糸は完全に使えるようになるのじゃが、魔法は21歳にならなければ無理だ。」
鋼糸が使えなくなるのは痛いな。


「まあ、しょうがねえか。使えないならしばらくは身体を鍛えながら、“カーネフェル”や“崩月流”に“七夜”の体術に専念するか。」
「あと、これは追加じゃ。“カーネフェル”で使用するトランプじゃが無限に出てくるから無くなるってことはないぞ。」
「おお、ありがたい。」
三国志ってことは漢王朝の時代だしな、トランプなんて代物あるわけないし、どう調達するか困っていたが、悩みが一つ消えた。


「む、そろそろ起きるがよい。長く寝過ぎると身体が固くなって動きを取り戻すのに大変じゃ。」
「うい。」
「じゃ、第二の人生楽しむがよい。」
「おう。」
そのあと、俺は目を閉じた。
~真紅狼side out~


~曹操side~
母上が運んできた男の子は未だに目を開けなかった。
私より年はだいたい三つ上ぐらいであった。
見慣れない服を着ていた。


「・・・うぁ?」
「母上、意識が戻りました。」
「あらあら、目が覚めたかしら?」
と母上は安心できるような声で男の子に声をかけた。


「・・・ここは?」
「森の中では危険なので私の家に来てもらいました。」
「態々、すみません。」
「いいえ。大丈夫ですよ。」
「それでも助けていただいて有難うございます。」
と男の子は身体を無理に起こして、見慣れぬお辞儀をしていた。


「・・っぅ」
「無理はいけないわ。さて、華琳。私は水を汲んできますので、少しの間お願いね。」
「はい、母上。」
「では、いってきます。」
そういい、井戸の方に水を汲みに行った。
そのあと、一気に静かになる。
私はさっきから気になっていたので聞いてみた。


「アナタ、どこから来たの?」
「ここよりもずっと東から来た。」
「というと、呉から?」
「違う、それよりもっと東だ。海を渡った先に島国がある、そこからやって来た。」
「そんな国あったかしら。」
「“日本”と呼んでいた。」
「ふ~ん。歳は?」
「九つだ。」
「私より三つ年上・・・。」
思っていた通り、年上だった。
また、新しい疑問が生まれたので聞いてみた。


「それじゃあ、アナタの服装はその国の物なの?」
「ああ。」
「随分と奇抜ね」
「・・・・・・・・・・」
「最後にいい?」
「なんだ?」
「アナタのn・・・「只今、戻りました」お帰りなさい、母上」
名を聞く直前で母上が帰って来た。
~曹操side out~


~真紅狼side~
目が覚めた俺は、いきなり声をかけられビックリしたが、その声の持ち主を見てみると金髪で“深窓のお嬢様”という感じの女性だった。
うん?金髪?
・・・・待て待て!
ここは三国志じゃなかったか!?
なんで、金髪なんてものがあるの?!
これが、ジイサンの言ってた“外史”ってやつか。
・・・改めて凄いと思った。
その女性の娘が色々と質問してきたので、嘘はなるべく付かずに答えた。
さすがに、未来から来たとかは言わなかったけど・・。
最後に聞きたいことがあったみたいだが、この娘の母が帰って来た。
俺は汲んできてもらった水を受け取り、水を飲んだ後「貴方のことを聞きたい」と言われたので話すことにした。
~真紅狼side out~


~彗琳side~
水を汲み終え、家に着いたときには華琳と話していた。
だけど、痛みのせいなのかどこか、無理して喋っていることが何となくだけど、わかった。
そして、なによりも分かったことはおそらくこの子には家族と呼べるものが居ないことが分かった。
華琳が家族のことを話していると、彼はどこか羨ましそうで儚げな眼をしていた。


「只今、戻りました」
華琳は一旦質問を止めた。
私は汲んで来た水を竹筒に入れ、飲ませた。


「そろそろ落ち着いたなら、貴方のことを聞きたいのだけどいいかしら。」
「はい。」
「私から名を言うわ。彗琳よ。華琳の母です。」
「私は姓が曹、名は操、字は孟徳、真名は華琳よ。」
この娘があの曹操!?・・・・・マジ?
ちょっと、凄い現実を目のあたりにして呆けていたが、正気に戻りこちらも名乗ったが、真名ってなに?


「俺は蒼騎 真紅狼だ。」
「姓が蒼で、名が騎かしら?」
「いえ、違います。字が蒼騎、名が真紅狼です。」
「真名はないの?」
「その真名ってなんですか?」
「神聖な名とでも言っておこうかしら。真名はその人が認めた相手のみに教える名よ。勝手に真名呼んでしまうと首を斬られてしまうから気を付けてね。」
「はい。となると、俺の真名は真紅狼ですよ。」
「・・・!何も知らずに真名を教えていたの?」
「いえ、俺の国では真名というのは無く、字と名だけです。そして、名がある意味真名に当たります。」
「そう、変わっているのね。」
“変わっている”と言われたが、なんとも複雑な気分だ。


「じゃあ、真紅狼と呼ぶわね?」
「はい。俺は彗琳さんと呼びます。キミは「華琳よ」いいのか?神聖な名なんだろう?」
「貴方だって、真名も知らずに堂々と真名を教えたんだからこれで差し引きなしよ。」
「じゃあ、華琳でいいか?」
「ええ。よろしくね、真紅狼。」
「挨拶も終わったところで話を再開するわね。・・・いきなり失礼なことを言うのだけど真紅狼くん。貴方、家族いないでしょ?」
「えっ?」
「・・・・・!?」
真紅狼の目は見開き、「どうして分かった」という目でこちらを見ていた。


「華琳が家族について話している時、貴方の目は羨ましそうに見ていたわ。そこから、考えると貴方は家族というものを知らないのでは?ってね。」
「・・・・・・・・・・」
真紅狼くんは黙っていた。


「出来れば、貴方の口から話してくれたら有難いのだけど、ダメかしら? もちろん、言いたくことの無いことは言わなくていいわ。・・・どう?」
「・・・・・ふぅ。いいですよ。お話します。」
「そう。有難う。」
「ただ・・・」
「どうしたの?」
「ただ、これを聞いた後が怖くて・・・」
「大丈夫よ。」
と優しい瞳で答えてあげた。
~彗琳side out~


~真紅狼side~
「家族がいない」・・・・か。
俺はそんな目をしていたのか・・・。
親しいモノ程、未練を残しやすいっていうのかね?
吹っ切ったと思ったんだがなぁ。


「・・俺はどこにでもいる家庭に生まれました。父も母も心身ともに強くちょっとやそこらのことじゃ、負けないぐらいに。ですが、俺が四つのときに盗賊に殺されました。そのとき、両親はなんとか俺だけ命がけで逃がしてくれました。ですが、そのあとの1年は親戚の者に次から次へとたらい回しにされ、挙句の果てには腫れ物扱いされたり、理不尽な暴力を受けた時もありました。・・・そして、六つの時に一人で生きるために“人”として生きるために、“殺す”練習を始めました。それから一年が経った頃に、その親戚の者を殺しました。そこから二年は力を付けながら、親戚の者を殺しまわりました。ささやかな復讐です。・・・これが全てです。」


まあ、時代と年、両親の死因は嘘だが、それ以外は事実だし。


「「・・・・・・・・・」」


二人は今の話を聞いてから一言も喋っていない。
やはり、拒絶するか。こんな話をすれば。
と自嘲気味に嗤っていると彗琳さんがいきなり抱きついてきた。


「!?」


え、ちょ、何故に!?


「辛かったでしょ?」
「・・・・・・・・」
「泣きたいときに泣いた方が楽になるわよ?」
「・・・泣きたくても泣けないんですよ。俺。」
「えっ?」
「なんというか、両親が死んだときだって泣けなかった。多分俺は、“悲しい”という感情が欠落してんだと思います。俺は壊れてしまったんですよ。・・・辛いはずなのに泣けず、心の中に溜めていき、それが入りきれなくなり内側から破裂して修復不可能のところまで壊れた。」
「・・・ねぇ、貴方。私たちの家族にならない?」
「・・・話し聞いてました?」
「聞いていたわ、けど誰だって幸福を望んでもいいはずなのに貴方にはそれがない。だからね、私たちが貴方に幸福を上げるわ。」


と拒否は許さないという目でこちらを見ていた。
最初は無視しようと思ったが、すごい見つめられていて居心地が悪くなったので諦めた。


「わかりましたよ。家族になります。」
「嬉しいわ~。では、改めてよろしくね。真紅狼?」
「はい。義母さん。」
「そう言えば年は九つって言ってたから、華琳の義兄ね」
「あー、そうですね。よろしくな、華琳?」
「はい、義兄さん。」
「不思議な気分だな。」
「兄弟はいなかったの?」
「生憎、一人っ子です。」
「そうなの。」
「おっと、いけない。忘れるところだった。」
「何を義兄さん?」
「まあ、挨拶をな。」
「挨拶?」
「・・・この度、本日から曹家の家族と成りました、蒼騎 真紅狼です。末長くよろしくお願いします。」


と礼儀正しく、正座をし、深く挨拶をした。
このやり取りに彗琳と華琳はポカンとしていた。


「真紅狼、それは?」
「俺の両親が教えた礼儀の一つです。「世話になる相手には必ず礼儀正しく挨拶をしろ」・・・と。」
「・・・いい両親だったのね。」
と言ってくれた。
~真紅狼side out~ 
 

 
後書き
華琳の母親の名はオリジナルです。

最初は「星琳」にしようと思ったんですが、それだと星と被ってるのでこちらの「彗」に変えました。 
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