おぢばにおかえり
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第五十七話 卒業式その二十二
「お引き寄せで」
「何でお休みの時も阿波野君に会うのよ」
「夏休みもそうだったじゃないですか」
「あの時もね」
言われてみればです。
「お引き寄せよね」
「またそれで」
「全く。それで神戸で若しも会ったらどうするのよ」
「どうしましょう」
阿波野君の今度の返事はどうも拍子抜けな感じでした。
「一体」
「そこからは考えてないの?」
「お会い出来たらいいですけれど」
「それでもなのね」
「その時は先輩にお任せしようかと」
「じゃあ神戸案内する位よ」
私が出来ることと言えばです。
「それ位よ」
「それ位どころかそうしてくれたら嬉しいですね」
それならとです、阿波野君はお顔を急に明るくさせて言葉を返してきました。
「じゃあお願いしますね、その時は」
「会うというかうちに来るの?」
「教会にですか」
「教会は誰でも来ていいから」
このことは天理教の教会なら誰でもだと思います、本当に来るものは拒まずです。
「それだとね」
「じゃあ教会のお話とかも」
「よかったらね」
「それじゃあ楽しみにしています」
「楽しみっていうことはもう決まってるのね」
「はい、もう」
いつもの底抜けに明るい返事でした。
「そういうことです」
「やれやれね」
「やれやれですか」
「私としてはね。けれどどういう訳か」
ここで私はお父さんとお母さんの方を見ました、すると詰所の人達と一緒に笑顔でお話をしていいます。
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