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おぢばにおかえり

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第五十七話 卒業式その二十一

「本当に」
「全部じゃないですか?」
「そうよね、けれど阿波野君は難は事前に避けるのね」
「受けてからじゃ遅いですから」 
 だからだというのです。
「そうする様にしています」
「それも一つの考えね」
「悪い考えじゃないですよね」
「暴力受けてからじゃ遅いからね」
 ヤクザ屋さんには近寄らないことが第一です、近寄って殴られたり蹴られたりして痛い目を観るよりはです。
「それじゃあね」
「そういうことなんで」
「最初から近寄らないで」
「やっていっています」
「そういうことね」
「はい、それで僕ひょっとしたら」
「ひょっとしたら?」
 ふと阿波野君に聞き返しました。
「春休み神戸に行くかも知れないです」
「えっ、そうなの」
「はい、それも長田の方に」
「あちらに親戚の方おられるから」
「だからなんです」
 それでというのです。
「またお会いするかも知れないですね」
「そうなのね」
「お会いした時は宜しくお願いします」
「いや、まさかと思うけれど」
 阿波野君と会うことはです。
「流石にないでしょ」
「そう思われます?」
「ちょっとね」
 このことはです。
「想像がつかないけれど」
「そう思ったらじゃないですか」
 私の方を見てにこにことして言ってきました。 
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