夢幻水滸伝
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第百二十三話 台風の中へその十三
「まず一勝だ、そしてな」
「これからもだがや」
「勝っていくぞ」
「さて、ではでごわす」
北原はここで菓子を出した、それは何かというと。
「これを食うでごわす」
「薩摩芋か」
「そうでごわす」
見れば焼き芋だった、かなりの大きさの焼かれた薩摩芋が皮に包まれたまま幾つも皿の上に置かれている。
それを見てだ、室生は言うのだった。
「これはいいな」
「薩摩芋はいいでごわすな」
「美味いし身体にもいい」
「しかも痩せた土地でも育つでごわす」
「いいこと尽くしの作物だ」
「そうでごわす」
まさにとだ、北原も答える。
「だからでごわす」
「おやつにも出すな」
「そうしたでごわす」
「そうか、ではな」
「三人で頂くでごわす」
「そうするか」
こうした話をしてだった、三人で薩摩芋を食べはじめた。そしてだった。
北原は最初の一個の一口を食べてからこんなことを言った。
「これは美味かでごわすな」
「そうだぎゃな」
坂口も一口食べて言った。
「ええ薩摩芋だがや」
「そうでごわすな」
「これを一個食うとだがや」
「二個ではないでごわすか」
「わしは一個だがや」
こう北原に返すのだった。
「おやつとしてはだがや」
「よかでごわすか」
「というか二個だがや」
「おいどんはでごわす」
「その辺り体格の差だぎゃな」
「そうでごわすな」
「まあそれは仕方がない」
室生も薩摩芋を食べつつ言う。
「私も一個だ」
「そうだぎゃな」
「二個は昼食や夕食ならいいが」
それでもというのだ。
「しかしだ」
「今はだぎゃな」
「難しい」
「おやつの時はだぎゃな」
「どうしてもな」
「そうだぎゃな」
「というかだ」
室生はこうも言った。
「この薩摩芋は普通に大きいな」
「全くだがや」
「しかも美味いのだからな」
「本当にいい薩摩芋だがや」
「薩摩芋はこうでないとでごわす」
北原は笑って二人にその薩摩芋を食べつつ話した。
「どうもでござる」
「駄目だって言うだぎゃな」
「そうだな」
「おいどんとしてはでごわす、大きくて甘い薩摩芋ば」
まさにそれをというのだ。
「腹一杯食うことがでごわす」
「いいというのだな」
「全くでごわす、だが」
「だが?」
「実はジャガイモも好きでごわす」
こちらもというのだ。
「よく食うでごわす」
「そちらの芋もか」
「薩摩芋も好きでごわすが」
それでもというのだ。
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