夢幻水滸伝
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第百二十二話 台湾沖でその十三
「楽しみましょう」
「それがええか」
「ではお二人もココナッツジュースを」
「葡萄ジュース貰えるか」
アルフィアンが欲しいジュースはこちらだった。
「まずは」
「葡萄ですか」
「今はそれが飲みたいわ」
「そうですか」
「あの極端な甘さを楽しんで」
そうしてというのだ。
「今は楽しませてもらうわ」
「それでは」
「拙者はそれを貰うわ」
バイテはモレイが飲んでいるココナッツジュースを見て述べた。
「それがええわ」
「では」
「こっちでも起きた時もよお飲んでるしな」
「タヒチではですね」
「そうしてるからな」
だからだというのだ。
「ここはな」
「ココナッツのジュースを飲みつつ」
「英気を養ってな」
そうしてというのだ。
「戦に備えるわ」
「そうされますか」
「是非な、あと果物は」
バイテはこちらの話もした。
「パイナップルや」
「そちらですね」
「あの甘酸っぱい味を楽しみたい」
「それでは」
「果物やないけどな」
バイテは笑ってこうも言った、実はパイナップルは木には実らない。畑で採れるれっきとした野菜なのだ。
その野菜であることを言いつつそれでモレイに話すのだ。
「それでもな」
「パイナップルですね」
「それを食べるわ」
「それでは、しかしこうして」
バイテはジュースを飲みつつ笑って話した。
「甘いものを楽しむということも」
「トロピカルなもんをな」
「それもまたよしですね」
「ほんまにな」
バイテはモレイの言葉に頷いて実際にパイナップルを食べた、そしてアルフィアンもそうした。南洋の者達は今はそうして楽しみ英気を養っていた。来たるべき日本との決戦に備えて。
第百二十二話 完
2019・7・15
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