| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

夢幻水滸伝

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第百二十二話 台湾沖でその十一

「ここはだ」
「どうするのかしら」
「進路変更だ」
 リーは言った、だがこの時彼もシェリルも気付いていなかった。二人は既に芥川の策にかかっていることを。
 そのうえでだ、こう言うのだった。
「南南西だ」
「そしてなのね」
「敵が台風の力を吸収する前に叩くか」
「若しくは」
「そうだ、吸収している時にな」
「仕掛けるのね」
「そうする、台風ともなればだ」
 それこそというのだ。
「かなりの力でな」
「それを吸収するとなると」
「どうして吸収するかわからないが」
「何かの装置を開発したのかしら」
「そこまではわからないが」
 それでもとだ、リーはシェリルにさらに話した。
「だがだ」
「かなりの装置であってね」
「それを使って吸収するにしてもな」
「かなりの時間がかかるわね」
「コントロールの必要もあるしな」
「ではその間に」
「我々は攻撃を仕掛けてだ」
 そのうえでというのだ。
「勝つ、いいな」
「わかったわ、ではね」
「進路を変更だ」
 リーはこのことを正式に決定した。
「南南西だ、そしてだ」
「日本が台風を吸収するその時に」
「狙う、敵の移動要塞の速度と我々の無何有郷の速度を考えるとな」
 蓬莱のそれは偵察でわかっている、それも計算してのことだ。
「そうしてだ」
「勝つのね」
「そうする、これが初戦となるが」
「その初戦で勝って」
「そしてだ」
 そのうえでというのだ。
「そこからだ」
「他の勢力にも勝っていくわね」
「そうしていく」
「ではね」
「もう手筈は整った」
 それは既にというのだ。
「戦の準備はな」
「そうね、敵の準備も整っているけれど」
「我々もだ。ではな」
「進路を南南西に転換ね」
「すぐにそうする、そして無何有郷にいる全員にだ」
 その彼等全てにというのだ。
「いつも通りだ」
「食事はね」
「ふんだんに摂ってもらう」
 こちらもというのだ。
「酒はまだだがな」
「飲む時は」
「勝利の時だ」
 まさにその時だというのだ。
「その時に飲む」
「そうね、戦を前にして飲むことはね」
「しない」
 酔って満足に戦えないからだ、リーはそこを気を付けてそのうえで今は酒は禁じているのだ。無論それは自分達も同じだ。
 それでだ、リーはシェリルにこうも言ったのだ。
「では我々は茶かな」
「コーヒーね」
「どちらかを飲もう」
「私はレモンティーにしておくわ」
「アメリカ風にか」
「コーヒーもいいけれど」
 それ以外にもというのだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧