夢幻水滸伝
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第百二十話 移動要塞その九
「そやからな」
「機械とかの方が効率的で」
「なくなった、奴隷よりも」
「普通の労働力の方がな」
「ずっとええから」
「それでや」
だからだというのだ。
「こっちもな」
「せんことやね」
「実際どの勢力もしてへんしな」
「このままやね」
「そうしてこな、とにかく他の勢力にはな」
「統一してもやね」
「多くのものは求めんわ」
このことは絶対だというのだ。
「ほんま都を首都にしてな」
「うちが棟梁になるだけやね」
「他のことは一切求めん」
「これでいくんやね」
「そういうことでな」
こう言ってだ、そしてだった。
芥川は綾乃にこうも言った。
「ほな今からな」
「出陣やね」
「その号令はな」
それはというのだ。
「やっぱりな」
「うちがやね」
「してくれるか」
「棟梁やし」
この立場にあるからだというのだ。
「やってくれるか」
「そうやね、ほなね」
「今からな」
「全軍出陣やで」
綾乃は彼女らしいおっとりとした声で号令を下した。
「今から太平洋と地下世界を統一するで」
「了解や」
「今から全軍で戦や」
中里と芥川が応えてだった、そのうえで。
蓬莱が動きだし日本は全軍を挙げてそのうえで太平洋と地下世界を統一する戦に向かった。この時島が向かう先に白鷺達が飛んでいるのが見えた。
その白鷺達を見てだった、中里は思わず言った。
「これは」
「吉兆ぜよ」
彼の隣にいた正岡が応えた。
「先輩もそう思うのう」
「ああ、日露戦争の時みたいやな」
「あれじゃのう、日本海海戦の時の」
「出港する時のな」
「あの時は三笠のマストに白い鳥が止まったっていうぜよ」
「皇后陛下の枕元には龍馬さんが出たっちゅうしな」
そして日本海海戦の勝利を予言したという。
「それを思わせるな」
「まさに吉兆ぜよ」
正岡は今度は笑顔で言った。
「わし等が勝つっちゅうことぜよ」
「そやな、これから全力を尽くしてな」
「日露戦争みたいに勝つぜよ」
「あの戦争は誰も日本が勝つとは思っていませんでした」
中原もいてその彼も言ってきた。
「ですがご先祖様達は獅子奮迅の働きをされて」
「勝ったな」
「はい、そうなりました」
「勝ったことになってるとか言う作家もおるけどな」
「その作家は何もわかっていないだけで」
「限定的勝利、勝ってるタイミングで仲裁を受けるのもな」
「それもまた戦、そして政ですね」
中原はわかっていた、その作家とは違って。
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