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八条学園騒動記

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第五百四十七話 酔い過ぎてその二

「起き抜けの凄い顔と恰好とかな」
「私の?」
「ぼさぼさの髪の毛でよれよれのジャージでな」
 春香のそうした姿の話をするのだった。
「風呂上がりで」
「一番色気のある時じゃないの?」
「半ズボンとシャツだけでな」
「やっぱりいやらしい恰好じゃない」
「そこから牛乳パックにそのまま口近付けて腰に手を当てて飲んだりあちこち痒いとかな」
 出す言葉の話もするのだった。
「そういうこと言う奴にどうか思うか」
「そう言うのね」
「俺はもっとな、大人の色気のな」
「そんな人にぐっとくるのね」
「そうだよ、朝の寝起きの顔とかな」
「駄目っていうのね」
「もうな、その時の顔なんてな」
 それこそというのだ。
「酷いぞ、特に二日酔いの時な」
「どんな顔?」
「こんな顔だよ」
 洪童はここで自分のスマホを懐から出してきた、そしてまさにその二日酔いで起きた時の春香の顔の画像を出したが。
 そのゾンビの様な顔を見てだった、春香も納得した顔になって言った。
「これは色気も何もね」
「ないだろ」
「ジャージ着たゾンビじゃない」
 しかも色気なくだらしなく着崩れしている。
「まさに」
「それ見たらな」
「そんな気なくなるわね」
「思い出すだけでな」
 それこそというのだ。
「そんな気なくなるぞ、そもそもな」
「そもそも?」
「ものごころつく前から一緒にいてな」
 家族として、というのだ。
「それでだとな」
「色々見てなの」
「それで色気とか感じるか」
「それもそうね」
「子供の時お互い汚いだろ」
「泥んこになったりね」
「もっと汚い有様になったりするよな」
 あえて衛生的な視点からぼかして話した。
「そういうの見てきたんだぞ」
「それじゃあ色気とかね」
「感じないわね」
「お前も俺に感じないだろ」
「色気?まさかよ」
 春香は兄に笑って即答で否定した。
「何で兄さんに感じるのよ」
「そうだろ、俺だってそうだよ」
 洪童にしてもというのだ。
「本当にな」
「だからなのね」
「適当に入ってろ」
 実に素っ気ない返事だった。
「覗きもしないからな」
「それもないのね」
「だから一切そうした気を感じないからな」
 それならというのだ。
「覗く筈もないだろ」
「それで逆に考えると」
「お前もないだろ」
「そうよね、というかね」
「というか?」
「兄妹でそういうの本当にないわね」
「普通はそうだよな」
 まさにとだ、洪童は妹に返した。
「誰だって」
「家族じゃね」
「親子だとな」
「そうした感情抱く方がおかしいわね」
「ライトノベルやアニメの妹はあくまでな」
 それこそとだ、洪童は酔いがかなり回っている顔で話した。 
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