ヘタリア大帝国
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TURN30 左遷その五
「とりあえずレーティアの傍から離すべきね」
「はい、妙な感じが否めません」
「それでいいかと」
ロンメルとマンシュタインも頷いた。二人の重鎮達の考えは一致していた。
「北欧に離しこれ以上の権限は与えない」
「そうしましょう」
「よし、わかったわ」
二人の元帥の言葉も受けてだ。グレシアは決断を下した。
そしてそのうえでだ。こう言ったのだった。
「じゃあヒムラーは一時北欧に行ってもらうわ」
「まさかと思いますがね」
古い友人であるロンメルは複雑な感情をその顔と声に見せていた。
「悪い奴じゃなかったですから」
「なかった、なのね」
「士官学校の頃は真面目で気さくな奴でした」
それがかつての、ロンメルが知っているヒムラーだったというのだ。
「後輩の面倒見もよくて。ですから」
「私もそうした人間であって欲しいけれどね」
悪人でないに越したことはないというのだ。
「けれど北欧の後はね」
「バルバロッサ作戦に参加してもらいますか」
「これは絶対よ。バルバロッサ作戦にはドクツの命運がかかっているわ」
グレシアの顔は曇った政治のものから厳しい戦争のものになった。
「敗れる訳にはいかないわ」
「まずはソビエトを倒してですね」
「そのうえで欧州に生存圏を確立させましょう」
ロンメルだけでなくマンシュタインも言う。
「その為にもですね」
「ソビエトとの戦いには全力を注ぎ込まなければなりません」
「親衛隊もあれば最初から投入するつもりだったけれど」
グレシアはまたロンメルを見て話す。
「できればロンメル元帥とプロイセン君達もね」
「バルバロッサ作戦にですね」
「参戦してもらいたかったけれどね」
グレシアはレーティアと同じ考えだった。
「仕方ないわね。アフリカのことがあるから」
「一刻も早くスエズを占領してそこからソビエトに入りたいですが」
「それは可能かしら」
「確かに攻めてはいます」
これは事実だった。しかしだった。
「スエズの守りは堅固です。そうおいそれとは」
「攻略できないわね」
「戦力の関係もありますがそれ以上に」
「イタリンが、なのね」
「はい。総帥を含めて善人ですが」
だがそれでもだというのだ。
「戦争については」
「まあねえ。イタリアちゃんだからね」
グレシアは仕方ないわね、といった苦笑いになって述べた。
「あの子達は戦争は苦手だから」
「あれがまたいいのですが」
マンシュタインはここではぽつりと述べた。だがだった。
「しかし。共に戦う場合は」
「全く頼りにならないのよね」
「とりあえず攻めていきますので」
ロンメルはグレシアにこのことは約束した。
「スエズを攻略したならば」
「そこからソビエトに入ってね」
「そうします。カフカスを狙います」
「ソビエトは広いから」
多くの星域を持っている。ソビエトは最も多くの星域を持っている国家でもあるのだ。
「レーティアは短期決戦を挑むつもりよ」
「即座にモスクワを攻略するのですね」
マンシュタインがグレシアに具体的な作戦を尋ねた。
「ドクツから全軍で攻め込み」
「そうなるわね。総司令官は貴方で」
他ならぬだ。マンシュタインがそれを務めるというのだ。
「トリスティン提督にベートーベン提督」
「そして親衛隊ですね」
「後か祖国君達、残っている国家全てでね」
攻めると言うのだった。そしてだった。
グレシアはあらためて二人の元帥に告げたのだった。
「ではそういうことでね」
「はい、バルバロッサやスエズの準備と共に」
「親衛隊長の処遇もその様に」
「進めるわよ」
こう言ってだ。そのうえでだった。
グレシアからレーティアに話した。このことを。
「どうかしら。それで」
「ヒムラーを北欧に向かわせるのか」
「親衛隊の主力もね」
「バルバロッサ作戦開始までには時間がある」
まずはこのことから言うレーティアだった。
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