ヘタリア大帝国
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TURN30 左遷その四
「油断ならないわ。レーティアに近付けられないわ」
「ではどう為されますか?」
「親衛隊長に対しては」
「このまま総統のお傍に置けないとなると」
「具体的には」
「そうね。北欧でエイリスのスパイが工作しているという噂があるから」
ここでグレシアは言った。
「あそこに送ろうかしら」
「スパイ対策ですね」
「その名目で」
「とりあえずレーティアの傍から。このベルリンから離してね」
そしてだというのだ。
「そのうちにマンシュタイン提督達と一緒に手を講じるわ」
「軍の重鎮であるあの方と」
「あの方とですか」
「ええ。そうするわ」
こう言うのだった。
「とりあえずは北欧よ」
「わかりました。ではですね」
「親衛隊長を北欧に向かわせることを」
「そのことを総統に申し上げますか」
「今から」
「このことも。やはりね」
グレシアの目が光っていた。政治家の目の輝きだった。
その輝きのままだ。彼女は言うのだった。
「マンシュタイン提督と。それにロンメル提督ともね」
「しかしロンメル提督は隊長のご友人ですが」
「それでもですか」
「ええ、国の大事かも知れないかしら」
だからだとだ。グレシアは言うのだった。
「あの二人とも話をするわ」
「軍の、ドクツの重鎮であるあの方々と」
「お二人とですか」
「そうするわ」
こう腹心達に話してからだ。そのうえでだ。
グレシアはマンシュタイン、そして彼女にとっては都合よくベルリンにレーティアへの戦況報告の為一時戻ってきていたロンメルと三人でだ。ヒムラーのことを話すのだった。
グレシアはまずはだ。こうそのロンメルに尋ねたのだった。
「貴方のお友達についてだけれど」
「ヒムラーですか」
「ええ。どう思うかしら」
「正直に申し上げて宜しいでしょうか」
ロンメルはまずはこう前置きしてきた。
「今ここで」
「お願いするわ。どう思うかしら」
「何か変わったと思います」
鋭い目の光でだ。ロンメルはグレシアに答えた。
「以前の彼とはどうも」
「具体的にどう変わったというのかしら」
「陰が。隠している様なものがあります」
それをだ。彼は言ったのだった。
「陰があるといいますか」
「陰、ね」
「妙です。最近それに気付いてきました」
「ロンメル元帥はそう思うのね」
「はい」
その通りだとだ。ロンメルはまた答えた。
「以前は明朗闊達な男だったのですが」
「ロンメル提督の見方はわかったわ。じゃあ」
続いてだった。グレシアはマンシュタインに顔を向けて彼にも問うた。
「マンシュタイン提督はどう思うかしら」
「妙な男ではあります」
マンシュタインは重厚な声で答えた。
「経歴にも謎が多く行動にもです」
「謎が多いわね」
「はい、実に」
そうだというのだ。
「士官学校を中退した理由からです」
「妙なものがあるわね」
「これは私の見たところですが」
前置きからだ。マンシュタインは述べた。
「奸臣やそうした感じがします」
「そうね。私も二人と同じ意見よ」
警戒する目になっていることはグレシア自身もわかっている。
そしてその目でだ。こう二人の元帥に述べた。
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