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ワールドトリガー~希望の架け橋~

作者:スズ
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第3話

8月20日、再び単身で三門市にやってきた。今回の目的はボーダーの入隊試験を受けるためである。

内容は3つ


・筆記試験

・運動神経測定

・面接(適性検査)


この3つとなっている。


筆記試験と運動神経測定をこなし、残りは面接だけとなっていた。

「(たぶん、筆記と実技は問題ないはずだ。あとは面接でどういった内容が聞かれるかだな)」

そうこうしているうちに自分の番が回ってきた。


コンコン



「失礼します」


「入り給え」


中から男の声が聞こえたため静かにドアを開ける。


そこにいたのはスーツを着た男性が一人だった。


「神崎海斗くんで合ってるかな?」

「はい」

「改めて、本日は入隊試験を受けに来てくれてありがとう。私は本部長の忍田真史だ」


まさかの本部長だった。海斗は内心そんなに偉い人が面接をしているとは思わなかったため驚いたが表には出さなかった。


「よろしくお願いします。」


「じゃあ。いくつか質問させてもらおう。君は現在福岡県に住んでいると書いてあるのだがどうしてわざわざ三門市へ来たのかな。」


「自分は生まれてから小学校5年生までは三門市に住んでいました。それから両親の都合上福岡に引っ越したので4年前にあった大規模侵攻に直接被害を受けたわけではなかったですが、全国ニュースになり当時かなりの衝撃を受けたのは今でも覚えています。友達はどうなったのか、気になったのですがまだ連絡手段を持ってませんでしたし、当時まだ中学に上がったばかりの自分にはどうすることもできませんでした。今回また両親が海外に仕事で移動するとのことだったのでこの機会に三門に戻って何かボランティアなど助けることができるのではないのかと思いました。」



「てことは、こっちに戻ろうと思った時にはボーダーに入るという考えはなかったのかな」

「はい。ボーダーのことは全国でニュースになどで耳にする機会はありませんでした」

「なるほど、確かにボーダーは全国には周知されてはいなかったな・・・・。ではどうしてボーダーに?」

「自分がボーダーを知ったのはこちらの高校の編入試験を受けに来た時でした。今の三門がどうなているのか散策していた時に昔はなかった塀がそびえたっているのが見えたんです。そのときたまたま近くにいたおばあさんが教えてくれたんです。4年前から警戒区域ができ塀の向こうには足を踏み入れることができなくなったことと、ボーダーの存在を。だからボーダーに入ろうと思いました。どのように戦うのかはわからなかったのですが少なくとも運動神経は必要だとも思いました。幸い自分は運動神経には自信がありますから。」


「なるほどね、あとこのこと親御さんはなんといっていたのかな。保護者のサインがあるから納得してくれているのはわかるが・・・・」


「それは大丈夫です。さすが子供のことをわかっているといいますか。戻ってから伝えるとそれを言い出すことが分かっていたみたいですでにサインを書いてましたから。父が偶然愛知でスカウトをしているボーダー隊員を見つけたみたいでその時にパンフレットをもらっていたみたいです。後悔をしないように生きなさい。と言われました」



「そうか、わかったありがとう。合否は改めてご自宅に郵送するよ」

「はい。ありがとうございました」


こうして、海斗の入隊試験は終わりを迎えた。







ボーダー本部


すべての入隊試験が終わり、忍田とほかの職員も交えて合格者と不合格者の選別を行っていた。3つの内容の試験を行っているが優先事項はトリオン量である。極論、筆記や運動神経が壊滅的でもトリオン量が豊富ならば合格にする。


忍田が持っているのはすべて選別されほかの職員が選別を待っている最中である。



コンコン


「入り給え」

「失礼します」

入ってきたのは合否の選別をしていた職員だった。
心なしか目がキラキラ輝いている。
なぜそのような顔をしているのか首をかしげながらも尋ねた。

「選別が終わったのか。見せてくれないか?」

「いいですよ!!ただ、すごい人がいたんですよ!!この人です。この人!!」

「あ、あぁ」

忍田は職員から一枚の書類を見る。

「これは!!」

そこには筆記、体力テスト満点の数字が見えた。

「それにこのトリオン数値見てください!!」

そこに書かれた数値を見ると。

「トリオン数値が27!?二宮を余裕で超える数値じゃないか。ホントなんだな?」

「はい、開発室長が作ったトリオン測定部屋ですよ。間違いなんてあるわけないじゃないですか」

そして、この数値をたたき出した名前には見覚えがあった。


神崎海斗、面接で自分の目に印象を植え付けた少年だ。
今までたくさんの面接を行ってきた中で入隊動機を聞いてきたが、彼ほど明確に何をするのが三門を守ることになるのかを明確にできている。そんな印象を受けた。

それにしてもこれは・・・・


「すごい奴が入ることになるんだな」

忍田は神崎が入隊するのを楽しみにしていた。






夏休み期間を残り2日にとした8月30日、再び三門市にやってきた。いや今日から三門市民として生活をするのだ。


結果だけ言うと編入試験には無事合格していた。それだけではなく5教科でオール満点での合格だったそうだ。合格通知が送られてくるだけでなく、直々に学校の先生からの電話もあったのには驚かされた。電話越しの先生はテンション上がりまくりでところどころ何を言ってるのかわからないところがあったが、お祝いされていることだけは理解したので素直に受け取っておくことにする。



そして、こちらも重要なボーダー入隊希望はこれまたあっさり許可された。しまいにはすでに保護者同意書にサインしてある始末である。



父曰く「海斗は誰かを助けられる手段があるのならたとえ危険でも選ぶと思っていた」とのこと。

自分のことをわかっている両親に照れくさくなったのは言うまでもない。


そして、こちらの入隊試験も合格通知が届いた。
正式入隊日は9月4日だ。それまでは仮入隊が認められ訓練ができるそうだ。




2日間はかなり忙しかった。アパートでの荷物整理、六頴館で制服や教科書など必要なものをもらいありないものはショッピングモールで買い、タンスなどを設置。
ハードスケジュールをたった2日間でこなした。本気モードである。


そしていよいよ新学期を迎えることになる。



 
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