夢幻水滸伝
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第百十九話 中立条約締結その十三
「ほなやね」
「ああ、戦の用意やな」
「これからな」
「そうなるね、皆と戦うのは残念やけど」
「この世界を救う為にはな」
「避けられんわ」
「そやね、そやったらね」
綾乃は二人の言葉に意を決した顔になり述べた。
「勝ってな」
「日本がこの太平洋と地下世界の覇者になる」
「そうせなあかん」
「戦は避けられる時は避けるに限るけど」
それでもとだ、綾乃はまた言った。
「せなあかん時はな」
「絶対に勝つんや」
芥川は綾乃に確かな顔で答えた。
「そういうものやからな」
「それでやね」
「勝とうな」
「日本は正直覇権を争う諸勢力で一番小さいけど」
「国力はな、けどな」
「それでもやね」
「勝てるで、その為にここまで用意してきたんや」
芥川は綾乃にこうも話した。
「むしろもう太平洋と地下世界全土で最後まで戦う様な」
「そんな無制限な戦も考えてたし」
「負けたら即終わりの勝ち抜きやったらな」
「日本でも充分に勝算あるし」
「国土や民に迷惑かけんし」
元々このことを念頭に置いて諸勢力も交渉を行った、そうしてそのうえで決まったことであるがというのだ。
「これがな」
「日本にとってもやね」
「ええ話やしな」
「そのええ話をやね」
「活かして」
そしてというのだ。
「勝つで」
「ほなそうしていこな」
「是非な、それとな」
芥川は綾乃にさらに話した。
「まずは日本の六十万の軍勢をな」
「あそこに移すんやね」
「そして僕等のうちでもな」
「星の子達も」
「太宰と喜久子ちゃんは置いておきたいが」
「いえ、私達もです」
その太宰が言ってきた、隣には喜久子もいる。
「同行させて頂きます」
「今回はやな」
「総力戦になりますので」
だからだというのだ。
「私達もです」
「戦に参加するんやな」
「私達は確かに戦の経験はないですが」
「それでもやな」
「術は使えますので」
それもこの世界に最初からいる者達より遥かに強力な術がだ、太宰も星の者でありそうした力は備わっているのだ。
「ですから」
「戦に参加してやな」
「戦わせて頂きます」
「ほな頼むで」
「残念ながら兵の指揮は」
「自分等は出来んな」
「残念に思っています」
太宰は自分から無念の顔で述べた。
「戦について知らないことは」
「それは仕方ないわ、政治家でしかも政治全振りや」
太宰の能力はというのだ。
「そやからな」
「だからですか」
「誰にも向き不向きがあるわ、むしろな」
「太宰君いてくれて」
それでとだ、綾乃は今は無念を出している太宰に微笑んで話した。
「政どれだけええか」
「そや、自分は最高の宰相やで」
中里も太宰に笑って話した。
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