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戦国異伝供書

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第七十一話 黄色から紺色へその十四

 一向宗の者達にというのだ。
「だがあちらは戦は素人でじゃ」
「それで、ですな」
「優れた将帥もいなかった」
「ただ数だけであった」
「だから勝てたのですな」
「そうじゃ、だが五倍六倍の侍達にな」
 それが足軽であってもというのだ。
「まともな武具を身に着けて優れた将帥達がおれば」
「そうであれば」
「宗滴様でも」
「そうですか」
「うむ、出来るものではない」
 到底と言うのだった。
「勝てぬわ」
「左様ですか」
「では、ですな」
「織田家とは戦わぬ方がよい」
「手を結ぶべきですか」
「浅井殿もそうするであろう」
 この家もというのだ。
「猿夜叉殿の聡明さならな」
「手を結ばれますか」
「そうされますか」
「あの方は」
「聡明な方じゃ」
 それが越前にいてもわかるからだというのだ。
「それでじゃ」
「そうされる」
「それで当家もですか」
「織田家と手を結び」
「戦国の世を生きるべきですか」
「この越前一国が朝倉家のものであるなら」
 それならというのだ。
「不足はないであろう」
「はい、当家としましては」
「この越前一国があれば」
「何の問題もありませぬ」
「不足なぞありませぬ」
 周りの者達もその通りだと答えた。
「やはり」
「それは」
「そうであろう、ならな」
 それならばとだ、宗滴は彼等の言葉を聞いて言った。
「天下を見てじゃ」
「強勢になる織田家と手を結んで」
「この越前を守るべきですか」
「それがいいであろうが」
 それでも主の義景がそうするか、宗滴はそれはないと思っていた、そうしたことを思いつつこれからのことを考えるのだった。


第七十一話   完


                2019・10・23 
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