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あべこべ道! 乙女が強き世界にて

作者:マロンex
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第2話 新しい友達ができました

 
前書き
まほさんはすけこまし

注意

早速キャラ崩壊気味。さおりんの口がちょっと悪いです。 

 
「おい、君...。着いたぞ、起きろ」
 
「う、うーん? はっ..しまったすっかり熟睡してた...ははっすみません...」
 
「...タクシーを提案した私がいうのもなんだが、君は少し警戒心というものをもて...私があの痴女のような輩だったら間違いなく襲われてるぞ」
 
「警戒心...ですか。 そうですね、たしかにあの時はすごい怖かったし...武術でも学ぼうかなー」
 
「いやいや...そういうことではなくて...まあいい、着いたし行くぞ、あまり時間がない」
 
「そうですね...あっ、タクシー代半分払いますよ、いくらですか?」
 
「いいよ..これくらい、私が出そう」
 
「え..でも助けてもらった上にタクシー代まで...悪いですよ」
 
「だからいいって...こういう時は女の面子を立てさせてくれ。私も好きでやっているだけだしな」
 
「は、はぁ...」
(...もう男とか女とか関係なく普通に憧れるかっこよさだなこの人...)
 
結局、押し切られタクシー代も出してもらった後、用事があるというのでその女性とは大学の正門でお別れした。
別れ際に困ったときはいつでも言えと電話番号の入った紙を渡されたがそのメモには大きく『西住流』と書かれていた。
 
「なんだったんだろう、あの女の人...このメモの西住流って...もしかしてそっち系の人だったりして...」
 
そんな独り言を呟きながら入学式の会場に向かっていると、またもや妙な違和感を覚えた。大学に入るやいなや周りの人物は女一色。右も左も女の人しか目につかない。
 
(うーん、なんか女ばっかだな...。そういえば入試の時も女が多かったような...少し窮屈だな...)
 
女性ばかりというのもあるが、妙に視線を感じて居心地が悪い。
式が始まってもその違和感は続き、なぜか自分のことを見て騒いだり、やたらコソコソと話し声が聞こえて全然集中できなかった。
 
『あれが噂の...?』『絶対そうでしょ!』
 
『マジか! あの子がそうなんだ! きたー!私これ終わったら声かけちゃおっかなぁ!』
 
(なんだ? 日程間違えたか? それとも場所か? さっきから男マジで俺だけじゃ...)
 
「えーみなさん! ご入学おめでとうございます! 昨年までは女子大だった我が校も今年から共学となります! ...残念ながら男子生徒は1名と現状ほぼ変わらないですが....今後はドンドンと多くの生徒を迎え、戦車道の多様化とジェンダーレスを...」
 
「....は?」
 
入学式で校長が言った言葉に耳を疑った。そんなバカなと入り口でもらった『大洗大学』のパンフレットを見ると
 
女子生徒:3800人
男子生徒:1人
 
(ほんとだ...沿革に昨年までは『大洗女子大学だった』って...嘘だろ...確かにそうなるとさっきまでの違和感も..)
 
「これから4年間...この生活...」
 
もうそのあとの校長の言葉なんて耳に入らなかった。入学式が終わったころには周りの視線なんて気にもならないほど、困惑を隠せなかった。
 
「おそらく朝の違和感からしてこの世界は男女が...しかもそれに追い打ちして同性の仲間がいないとなると相談する人も...」
 
「ねえ、君」
 
「いや待て、まだ朝助けてくれた人がいるじゃないか、あの人ならこの違和感の相談にも..」
 
「ねえってば!」
 
「え? は、はい! なんでしょう!」
 
「...あ、ごめん。 驚かすつもりじゃなかったんだけど...君が噂の我が校のファースト男子?」
 
「え、あ、はい...噂とかはよくわかりませんが...そうみたいです。何か用ですか?」
 
「やーん、やっぱり! 想像してたよりも何十倍も可愛いねえ! 君名前なんていうの? 彼女いる?」
 
「やめろ沙織、今のお前、完全に道端でナンパしてるチャラ女だぞ」
 
「なによー。女がガツガツ行かないでどうすんのよ! 草食系女子なんてクソ食らえよ」
 
「はぁ...なんでこうもこいつは...」
 
終わって出て行くと早々に女子生徒に声をかけられた。赤縁のメガネをかけた元気そうな茶髪の子と、それの袖を引っ張る黒髪の低血圧そうな子。まあでも悪い人たちじゃなさそうだ。
 
「え、えっと名前は河野ひろって言います...彼女はその...今までできたことなくて...」
 
「おい....君も沙織の冗談まともに受けなくていいから...」
 
「嘘ー! こんなに可愛いのに!? 周りの女の目腐ってるんじゃないの!? 君も少しアプローチすればいけそうなきが...」
 
「うーん...部活に打ち込んでてそんなこと考えたこともないですね...」
(あれ? 自分で言ってて悲しくなってきたぞ? 完全に言い訳やん)
 
「へー...部活にねぇ...どうりで」
 
胸元や腰をチラッと見られる。まぁ本当に打ち込んでたから多少は引き締まってはいるだろうが、見られて気分がいいものではないな。
 
「...沙織。お前ほんと....」
 
「いや!違っ...これは女の性ってやつで...」
 
ゴミを見るような目で見つめる黒髪の女の子。何だが若干気まずいので自分から話し始める。
 
「実は高校までは男子校だったんですよね。...恥ずかしながらこんな女性に囲まれる体験自体初めてで....」
 
 
「えっ!それっていわゆる箱入り息子ってやつじゃん!! うわあ!私が最初の王女様になりましょうか?...なんてねぇ...えへへ」
 
「ほんときもいなお前、男の子引いてるぞ」
 
「うそうそ!ごめーん!! 引かないで!! あ、てかラインやってる?」
 
「ははっ..あっラインなら...「まぁ沙織の冗談は置いといて、私たちも自己紹介だ。このうるさいのが武部沙織。で私が冷泉麻子だ。まぁなんとでもよんでくれ」
 
「あっはい...武部さんに...冷泉さんですね...よろしくです」
(あ、今の冗談なんだ...)
 
「うむ、で君、なに学部? 」
 
「えっと...戦車部です」
 
「!! やったー! 同じ学部じゃん! やっぱり運命ってあるんだねぇ!」
 
「沙織うるさいから黙ってろ...。まぁ同じ学部なら話は早いな、これからオリエンテーションあるからよかったら一緒に行くか?」
 
「えっ! はい! 是非!よかったぁ...正直不安だったんですよね。こえかけてくれるひといてよかったです」
 
ドキッ「えっ...いやまぁこれくらい...気にするな」
 
「あれぇ? 麻子顔赤くない? 照れてんの?」
 
「...黙れ。おまえ置いてこの子と行くぞ?」
 
「やーん、独占欲ってヤツゥ? 私お邪魔でしたかー? 」
 
「これ以上言うなら殴るぞ」 バキッ
 
「..痛ったぁ!ちょっ!そのセリフは殴らないときに使うやつでしょ!もー!」
 
「いいからいくぞ...。えっと...河野さん...これからよろしく頼むな」
 
「はい! 武部さん! 冷泉さん! よろしくお願いします!」
 
「いつも一緒にいる子がもう1人いるからその子も後で紹介するねー! じゃあいこ!河野ちゃん!」
 
「か...かわのちゃん...?」
 
(よかった...とりあえずは安心だ...)
 
不安と絶望に満ちていた大学生活に一筋の光が射したような気がした。
 
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