夢幻水滸伝
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第百十九話 中立条約締結その十
「神星のモンの中でもな」
「そやったな、それでや」
「太平洋と地下世界の覇者は日本でやな」
「棟梁は綾乃ちゃんや」
「他のモンは考えられんな」
「器がちゃう」
芥川は言い切った。
「これはもう何があってもや」
「否定出来んことやな」
「人の器はな、将の将って言葉もあるやろ」
「確か韓信が劉邦に言うたことやな」
韓信が王から候にまで格下げされて都長安で不満を抱いていた時に宴の場で劉邦に対して言ったこととされている、尚後に彼は謀反の嫌疑で三族共々皆殺しにされ訪越と黥布もそれに続いている。
「劉邦がそれやな」
「そや、やっぱり大きな勢力の主はな」
「それなりの器が必要でやな」
「その器の持ち主こそがや」
「綾乃ちゃんやな」
「もうここにおるモンは全員わかった筈や」
芥川は確信を以て言い切った。
「この会議でな」
「日本以外の勢力の連中もやな」
「認めてないかまだ意識下では気付いてへんでもな」
それでもというのだ。
「無意識下ではや」
「気付いてるか」
「そや、三極星の一人とかいう以前にな」
「人の器やな」
「綾乃ちゃんはそれがあるからな」
だからだというのだ。
「戦に勝った後でな」
「九十五億の民と広大な主の棟梁にか」
「あの娘はなるで」
「絶対にやな」
「それを確かにする為の戦をな」
「これからするな」
「そうなるわ、条約を正式に結んで」
そしてというのだ。
「ここにおる連中がそれぞれの国に帰ってな」
「それからやな」
「戦になってな」
「その戦に勝つか」
「僕等がな」
芥川の自信は変わらなかった、それでだった。
平城京で各勢力、覇権を争う戦に参加する勢力の棟梁達の間でも条約が結ばれた。それはこれまで話した通りのものだった。
それぞれ同盟を結ぶことなく戦い一敗すればそれで脱落となり最後まで勝ち残った勢力が覇者となる、出す戦力は星の者全員と兵の八割から十割だ。
それを署でそれぞれの棟梁の名前が書かれてからだ、綾乃は他の勢力の星の者達に微笑んで確認を取った。
「皆これでええね」
「うん、ええで」
地下世界の棟梁である愛が笑顔で答えた。
「これでな」
「一度でも負けたらな」
「それで終わりやな」
「それで出す戦力はな」
「星のモン全員で」
「軍隊もな」
「全戦力出してええねんな」
愛は綾乃にこのことで確認を取った。
「まさに」
「そやで、全戦力でな」
まさにというのだ。
「出陣してもええで」
「そやな、ほなそういうことで」
「これから暫く敵同士やな」
「綾乃ちゃんも日本の他の子達も好きやけど」
それでもとだ、愛は綾乃に笑ったまま話した。
「敵同士やな」
「戦が終わるまでな」
「そうなるな」
「そやからな」
ここはというのだ。
「お互い全力で戦おうな」
「そうしよな」
「さて、ではこれで我々はそれぞれの勢力に戻る」
リーは落ち着いた声で述べた。
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