夢幻水滸伝
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第百十八話 二帝の別の顔その三
「僕から言います」
「おい、一人称まで変わってるで」
中里は今度はタゴールの一人称に驚いた。
「これどういうことや」
「僕達は公の場では公の僕達になってです」
タゴールは驚く中里にさらに話した。
「そして玉座、公の場を離れますと」
「私になってか」
「私の僕達はです」
「こんな風か」
「起きた世界でも授業や部活の時はこうですが」
「それを離れるとか」
「こうなります」
今の様になるというのだ。
「どちらも僕達ですよ」
「そうなんか」
「これでわかってくれたかしら」
またエカチェリーナが言ってきた。
「私の時の私達はこうなのよ」
「何か普通の女の子やな」
「だって、ねえ」
エカチェリーナは芥川の言葉に右手を頬に当てて困った顔になって話した。
「実際私達起きた世界だと」
「普通の女の子か」
「そうなのよ、確かに起きた世界でも授業中はきりっとなるけれど」
これは三人共だ。
「けれどね」
「こうした時はか」
「そうよ、普通の女の子になるのよ」
「そうなんやな」
「タゴール君もターリヤさんもね」
「そうなのです、ですから今は怖くしないで下さいです」
またターリヤが言ってきた。
「仲良くして下さい」
「言われる前からそのつもりよ」
アレンカールも三人のギャップに驚きつつ応えた。
「私達は」
「そうですか?」
「だって今は戦で会ってないでしょ」
「親睦を深める為です」
「それでどうして怖くなるのよ」
「そらやがて戦うけどな」
トウェインもこう言った。
「けどな」
「それでもですね」
「今は中立やしな」
それにとだ、トウェインはさらに言った。
「親睦を深める場やし」
「怖くないのですね」
「御所は公の場やけど私の宴やしな」
そうした場でもあるからだというのだ。
「別にな」
「怖くないのですね」
「そやで」
「ほなしゃぶしゃぶ食べような」
「お肉のことですが」
タゴールがここで太平洋の神星の者達に問うた。
「牛肉ではないですね」
「羊やで」
綾乃がタゴールの問いに笑顔で答えた。
「タゴール君牛肉駄目やからね」
「はい、ヒンズー教徒なので」
それ故にとだ、タゴールは綾乃に答えた。
「戒律で」
「牛肉あかんね」
「ですからそれはと思っていましたが」
「もうそれこっちもわかってるさかい」
だからだというのだ。
「羊のお肉、マトンとラムにしてん」
「両方ですか」
「そやで、両方用意したで」
「なら安心出来ます」
「マトンは匂いするけどな」
メルヴィルが笑って言ってきた。
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