夢幻水滸伝
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第百十八話 二帝の別の顔その二
「日本酒とワインをね」
「ワインはどっちだい?」
「赤やで」
リディアは麻友に笑って答えた。
「そっちやで」
「お肉やからな」
「赤なんだね」
「そやねん、何でもエカチェリーナさんがワインお好きらしくて」
「それこっちの十人の人達もやしな」
元春は笑って彼等のことを話した。
「ワインはな」
「あって損はないしね」
「それでワインもやな」
「用意してもらったんだよ」
麻友は笑顔で話した。
「お酒も考えないとね」
「そうそう、私等もワイン好きやし」
セーラも笑顔で言ってきた。
「あの美味しさはわかってるし」
「そっちも用意したし」
「デザートの用意も出来たし」
「そうそう、雷帝さんも好きなケーキね」
「そっちも用意も出来たしな」
「後はご堪能あれだよ」
そうなるというのだ。
「そっちのお酒も用意したしね」
「そやね、ほなな」
「神星の人達にはね」
「存分に楽しんでもらおうな」
セーラは麻友に笑顔で話した、そうしてそのうえで自分達の仕事の評判を待つことにした。そしてその彼等はというと。
今は御所の応接の間に共にいた、合わせて十三人共にいるが中里はエカチェリーナとタゴールそしてターリヤに驚きを隠せない顔で言った。
「起きた世界でもやけどな」
「何かしら」
エカチェリーナが乙女な態度で中里に応えた、威圧感も冷酷さもなく如何にも純情可憐なお嬢様といった風である。
「私達が違うっていうのね」
「そや、さっきは威圧感に満ちててな」
「今は違うっていうのね」
「そや、別人か?」
「別人じゃないわよ」
困った顔でだ、エカチェリーナは中里に答えた。
「私は私だから」
「ほなさっきもか」
「そうよ、私よ」
「あのですね」
今度はターリヤが言ってきた、何処かおどおどした感じだ。
「中里君、その言い方怖いですよ」
「怖いか?」
「そうです、私達は喧嘩をするんじゃないですよ」
「それはわかってるわ、僕も」
「だったらです」
ターリヤは中里にどうかという顔で述べた。
「もっと温厚な態度で」
「話して欲しいんかいな」
「そうです、穏やかにお願いします」
「いや、そやからな」
「穏やかですか?」
こう中里に問うた。
「中里君は」
「そのつもりと言っておくで」
「それでも怖いです」
「そうか?」
「この娘普段はこうよ」
ここでだ、シェリルが中里に話した。今は太平洋の神星十人は枢軸の三人と対峙する形で向かい合っている。
「起きた世界では同じクラスだから言えるけれど」
「こんなんか」
「そう、少しおどおどしてるの」
「そうなんやな」
「喧嘩とかもしないから。ただ頭が回って真面目で優しいから」
そうした性格でというのだ。
「好かれているわ」
「そうなんやな」
「本当にね」
「あの、怖がる様なことはよくないですよ」
今度はタゴールが真面目で穏やかな声で言ってきた。
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