夢幻水滸伝
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第百十七話 枢軸の者達の素顔その十一
「そこで死んでいる奴もいる」
「絵になるって言うべきか?」
「酔った溺死体だ、嫌なものだぞ」
「ああ、奇麗な街並の中でか」
「あの街のな」
「それはあかんな」
「だから酒の問題は深刻でもあるが」
それでもとだ、ゴンチャロフはさらに飲みつつ話した。
「ロシア人の心だ、そしてその酒こそがな」
「ウォッカか」
「その通りだ」
「日本酒も美味いが」
またドフトエフスキーが言ってきた。
「アルコール度で言うとな」
「ようやくやな」
「酒だ」
その域だとだ、小泉に言うのだった。
「それ位だ」
「そやから今もか」
「どんどん飲める」
「ロシア人は日本酒には酔い潰れるって聞いたけどな」
「我々は違う」
これがドフトエフスキーの返事だった。
「言っておくがな」
「日本酒でもか」
「酔い潰れずにな」
「どんどん飲めるか」
「この通りな」
実際にこう言ってだ、さらに飲む彼だった。
そしてだ、こうも言うのだった。
「今我々は敵だが」
「それでもやな」
「後々な」
「一緒になるな」
「その時は本当に楽しみだ」
「全くだな」
ゴーゴリーはドフトエフスキーの言葉に同意して頷いた、そしてだった。
彼も日本酒を飲んだ、そのうえで言うのだった。
「お前等は決して嫌いではないからな」
「そのことはいいことですが」
それでもとだ、横溝はゴーゴリーに応えて言うのだった。
「貴方達がまさかです」
「全員で日本に来るとはか」
「思ってもいませんでしたが」
「誰かがここに来ることもだな」
「ほんまに」
こうゴーゴリーに言うのだった、彼もまた酒を飲みながら。
「想像もしていませんでしたが」
「相手の意表を衝く」
ゴーゴリーは不敵に笑ってこうも言った。
「それが政であり戦だな」
「それでそう言うか」
今度は田山が言った。
「ここに来た理由は」
「そういうことになる、だが」
ツルゲーネフが言ってきた。
「我々は今回の約束は護る」
「こっちの戦には不介入か」
「太平洋と地下世界は今は好きにしろ」
「それがそっちの考えやな」
「我等が女帝陛下と雷帝陛下のな」
二人のというのだ。
「お考えだ」
「不介入か」
「好きにするといい、暫くはな」
「ほなな」
「そうするな」
「私達が覇権を握ってな」
田山は北極上空の浮島群を治める星の者達の一人として述べた。
「そのうえで自分等を倒しに行く」
「そう来るか」
「そやからな」
だからだというのだ。
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