八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二百五十三話 隅田川その四
「戦争以外にはね」
「才能がなかったの?」
「政治力もあったと思うけれど」
それでもだ。
「あまりね」
「平和な時代には向いていない人だったの」
「そんなところがあったと思うから」
お金の使い方もどうかというところがあったしだ。
「あの人はね」
「いいところで亡くなったの」
「そうかもね、あの時代の人そうした人多かったかもね」
「いいところで亡くなった人が」
「最悪のタイミングで最悪の相手に殺された人もいたけれど」
「伊藤博文さんね」
ダオさんもそれが誰かすぐにわかった。
「あの人ね」
「そう、あの人はね」
「哈爾濱で殺されていないと」
尚漢字では哈爾濱となるとのことだ。
「よかったのね」
「しかもあのテロリストにだったから」
「安重恨ね」
「そのせいで併合になってね」
「日本は大変なことになったわね」
「だからね」
このことを思うとだ、物凄い人材と予算と技術を注ぎ込んで三十六年間赤字ばかりだったというとでもない統治だった。
「あそこを併合したことは」
「失敗で」
「そうなったことは」
「あの人が暗殺されたことが決め手だったのね」
「もうあの時点で併合決まってたみたいだけれど」
それでもだ。
「最狂最悪の一撃はね」
「あの暗殺ね」
「何でもあの人の最期の言葉がね」
「何だったの?」
「誰が撃ったか周りに聞いて誰かって聞いて」
それでだ。
「自分を撃つとは馬鹿な奴だってね」
「言ったの」
「それが最期の言葉だったから」
何でも馬鹿者が、と言ったらしい。ほぼ即死で言わなかったという説もあってこの辺りは真実でないかも知れない。
「これがどういう意味かだけれど」
「これで併合は決まったってこと?」
「それか今更どうにもならぬか」
「どっちにしても酷いことになったのね」
「うん、あそこを併合するにあたって」
既に決まっていたにしてもだ、決まっていたら気分的にだ。
「最後の一押しだったからね」
「若し伊藤博文さんが生きていたら」
「併合せずに済んだかも知れないから」
「残念なのね」
「あの人はね」
僕が思うにだ。
「幕末、維新でね」
「悪い時に亡くなったのね」
「そう思うよ、西郷さんや大久保さんは」
大政奉還と維新の立役者とも言える人達だけれどだ。
「丁度役目を終えたかな」
「その時になのね」
「死んだとも思うし他の人達も」
「いい時になのね」
「龍馬さんはわからないけれど」
この人は長生きしていたらどうなっていたかと思わせるものがある、器が大きくてロマンを感じさせる人だからだろうか。
「高杉さんにしてもね」
「いい時に亡くなったのね」
「吉田松陰さんもかな」
高杉さんの師であるこの人もだ」
「橋本左内さんにしても」
「あの人もなの」
「逸材だったけれど」
それでもだ。
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