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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二百五十二話 ふわふわ卵その六

「詳しいお話を聞いていると」
「器が大きくてユーモアもあってね」
「教養も感じられるし」
「和歌も詠んでね」
「そんな人だから」
 確かに乱暴なところはあるけれどだ。
「結構ね」
「嫌いじゃないんだね」
「和歌詠むとか恰好いいじゃない」
「そうだね、ちなみに近藤さんも詩を詠んだんだ」
「そうなの」
「近藤さんは漢詩が好きで」
 最初このことを聞いて驚いた、只のお百姓さんの家の人がそんなものまで詠めるのかと。そこまでの教養があったのかとだ。
「詠んだ歌も残ってるよ」
「意外な一面ね」
「この人もそれなりの教養があったんだ」
 少なくとも漢詩を詠めるだけのだ。
「あと伊藤博文さんや山縣有朋さんもね」
「詩を詠めたの」
「二人共結構以上だったみたいだよ」
「詩人としても」
「うん、特に伊藤さんは」
 政治家として抜群の能力を誇った人でとんでもないまでに柔軟な思考と器の大きさはかなりのものだった。
「当時随一のね」
「詩人でもあったの」
「明治ではそっちでもね」
 このことも最初聞いて意外に思った。
「知られていたんだ」
「そうだったのね」
「それだけの教養があったんだよね」
 この人達にもだ。
「幕末の切った張ったの中で」
「ヤクザ映画みたいなのに」
「やっぱり武士だから」
 このことは紛れもない事実でだ。
「ちゃんとね」
「和歌や漢詩を詠んでいたの」
「武士としての嗜みだったから」
 和歌や漢詩はだ、このことは二次大戦終結まで続いていて軍人さん達も辞世の句等の詩を謡っていた。
「だからね」
「近藤さん達もなのね」
「下級武士でも」
 近藤さんなんかは実は農民だ。
「それでもなんだ」
「ちゃんと詩を詠めたのね」
「今それが出来るとか」
 和歌や漢詩を謡える人はだ。
「そんなにいないよね」
「そうよね」
「武士は軍人さんになって」
 明治維新を機にしてだ。
「今は自衛官だけれど」
「自衛隊の人達和歌詠むの?」
「漢詩とかだよね」
「そういったことするの?」
「そうしたことはないみたいだよ」
 幹部つまり士官となれば教養が求められることは事実でもだ。
「これといってね」
「そうなのね」
「もう武士じゃないからね」
 自衛官の人達もだ。
「もうね」
「だからなのね」
「和歌とか漢詩は」
「無縁になっているの」
「そうみたいだよ」
「それは残念ね」
「そうは言っても」
 僕はふわふわ卵の和風の大人の味を楽しみつつ話した。
「時代が変わって」
「武士の時代じゃなくて」
「そう、軍人さんもね」
「自衛隊だから」
「例えだよ」
 僕はこう前置きしてラブポーンさんに話した。 
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