夢幻水滸伝
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第百十六話 荒ぶる善その五
「何度見てもな」
「相当なもんやな」
「芥川も形無しやな」
「ラクシュミーちゃんの前ではな」
「というかな」
「あの芥川を押すとかな」
中国清代の高官の服の羅と宋代の高官の服の施も言うことだった、二人共相当高位の者が着る服である。
「凄い娘やな」
「これがインド人か」
「自分の興味のある方向に話を持って行く」
「しかも空気は全く読む気はないか」
「恐ろしい」
「本当にね」
リーはスーツである、現代のそれを着真面目に着ている。普段の中国唐代の最小クラスの者の服ではない。シェリルはアボリジーの女性の服をこれ以上はないまでに華麗に飾ったものだ。
「これから政の話をしようと思っているのに」
「そこで恋愛の話か」
「しかもこの緊張した状況で」
「流石と言うべきかしら」
「というかこいつは特別やろ」
芥川は自分の後ろにいるリー達六人に言った。
「ちょっとちゃうわ」
「それはね」
アレンカールも言ってきた、彼はインカ帝国皇帝の服に黒いズボンという恰好だ。
「否定しないわ」
「そやろ」
「ええ、ただ緊張していた空気が」
それがというのだ。
「砕けてきたわね」
「そやな」
中里はアレンカールのその言葉に頷いて応えた。
「それはな」
「そうよね、正直皆緊張していたけれど」
「それがな」
「ラクシュミーちゃんが芥川君にお話してね」
「随分な」
「場が砕けたわ」
「ほんまにな」
「少なくとも今は緊張する必要はない」
タゴールがここで言った、雄々しい強い声は支配者に相応しいものだった。
「余達は戦で来たのではないからな」
「ほなお話に来たんやね」
綾乃はタゴールに目を向けて彼に問うた。
「そやね」
「そうだ、言うならば挨拶に来た」
それでと言うのだった。
「余達はな」
「我が夫の言う通りよ」
今度はエカチェリーナが言ってきた、奇麗な声であるが氷の如き冷徹さと威圧感が彼女の声にはあった。
「私達はここで戦をすることはないわ」
「お話に来たんやね」
「そうよ、約束をする為に」
エカチェリーナは綾乃に顔を向けて答えた。
「私達はここに来たのよ」
「約束っていうと」
「太平洋と地下世界を統一する戦をするわね」
エカチェリーナはこのことを言ってきた。
「そうね」
「そのこと知ってるんやね」
「太平洋と地下世界の全ての星の者が長い間この平城京にいてお話をしている」
このことをだ、エカチェリーナは挙げた。
「そしてそこから聞こえる話はね」
「太平洋と地下世界の戦のことやから」
「わかるわ」
「察しがついたんやね」
「ええ、その通りよ」
「これ位のことはすぐにわかるわ」
今度はターリアが言ってきた。
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