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夢幻水滸伝

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第百十六話 荒ぶる善その一

               第百十六話  荒ぶる善
 太平洋と地下世界の星達はそれぞれの国や民族、地域の礼装に着替えていた。又吉は男の琉装の礼装だったが。
 紋付羽織袴の北原にこんなことを言われた。
「うむ、見事でごわす」
「似合ってますか?」
「似合っているでごわすよ」
 北原は強い声で答えた。
「よかおのこでごわす」
「だといいですがね」
「いや、他のモンもでごわす」
 北原は居並ぶそれぞれの星の者達を見てさらに言った。
「礼装が似合っているでごわす」
「それぞれの人のですね」
「気品と風格が感じられるでごわす」
「礼装が似合うとですか」
「そうでごわすよ、気品と風格が出るでごわす」
 そうなるというのだ。
「だからでごわす」
「今の様にですか」
「言ったでごわすよ」
「いや、確かに」
 二人のところにカマンダが来た、見れば今の彼は黒のタキシードにシルクハットという恰好である。
「皆さんよいお姿です」
「おまんもでごわすな」
「私もですか」
「そうでごわす、しかし」
「しかし?」
「おまんは今はスーツではないでごわすな」
「礼装ですので」
 それでとだ、カマンダは北原に優雅な笑みで答えた。
「ですから」
「それで、でごわすか」
「普段のスーツではなく」
 彼の神具でもあるそれを着ていないというのだ。
「この様にです」
「タキシードでごわすな」
「そしてシルクハットです」
 カマンダは自分が被っている黒いそれを右手で指差しつつ話した。
「こちらです」
「恰好いいでごわすな」
「そう言って頂き何よりです、ですが」
 ここでだ、カマンダはこうも言った。
「皆さん私も含めて緊張していますね」
「まさかですよ」
 又吉はカマンダにどうかという顔で述べた。
「会議が終わりかけてこれでと思っていますと」
「そうですね、本当にまさかの」
「はい、枢軸の方々が来られるとは」
「それも皆さん」
「女帝さんと雷帝さんまで」
「お二人が来られるのが最もですね」
「まさかということなので」
 又吉はカマンダにも述べた。
「どうなるかと」
「おいどんも緊張しているでごわす、ただ」
 北原は顔にその緊張の色を出している又吉に話した。
「ここでは戦にならないでごわす」
「そうですか」
「そうでごわす」
 こう言うのだった。
「女帝も雷帝も無粋ではないでごわすからな」
「私もそう見ています」
 カマンダも緊張している、しかし彼も北原と同じ見方だった。
「今回はほんの挨拶です」
「それだけですか」
「はい、ここで戦ってもです」
「それは無粋ですか」
「それに勝ってもです」
 枢軸側がというのだ。
「この世界に覇者とは喧伝出来ないですね」
「そうですね、それは」
「私達に正面から堂々と戦い」
 そしてというのだ。 
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