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八条学園騒動記

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第五百四十二話 朝早くだったのでその六

「まるで破傷風の数十倍の効果でじゃ」
「破傷風のですか」
「苦しみ抜いて死ぬ」
「あの、破傷風って」
 その病気のことを聞いてだった、野上君は博士に眉を顰めさせて話した。その病気のことを知っているだけに。
「ちょっと」
「恐ろしい病気じゃな」
「今は確実に助かりますが」
 それだけ薬も効果のあるものになったのだ。
「ですが」
「手遅れであると苦しみ抜いて死ぬな」
「とんでもない病気ですよね」
「その病気の様でな」
「数十倍の威力ですか」
「それがあってな」
 それでというのだ。
「毒ガスを少しでも吸えばな」
「その時はですか」
「その様にして死ぬ、それも全員な」
「ヤクザ屋さん達がですね」
「そうなればな」
 その時はというのだ。
「成功じゃ」
「そうですか、しかし博士は」
「わしが?」
「相変わらず殺し方も考えてますね」
「小悪党は思いきり苦しめて殺す」
 博士は平気な顔で述べた。
「これ以上はないまでにな」
「それも博士の趣味だからですね」
「そうした毒ガスにする」
「それで液体で使っても」
「例えば水道に流す」
 悪の組織の使用方法の典型的な作戦の一つである。
「一滴で一千万殺せる」
「一千万ですか」
「一つの大きな街もな」
 連合でも滅多にない規模の街だ。
「そうした街もな」
「一滴で、ですか」
「皆殺しに出来る」
「そんなものですか」
「勿論チーマーに一滴でも盛ればな」
 そうすればというと。
「苦しみ抜いて死ぬ」
「やっぱりそうなりますか」
「左様じゃ」
「そしてそのことがですね」
「殺してその相手が死ぬまでもがき苦しむのを見る」
 そうした行為がというのだ。
「わしの楽しみじゃ」
「だからですか」
「是非ここはな」
「開発を成功させて」
「実験をしてみるのじゃ」
「そうされますね」
「実験は絶対じゃ」
 造るならばというのだ。
「造るまでも楽しいが」
「それで終わりじゃなくて」
「君も科学者ならわかるな」
「はい、こうした時には実験は必要です」
 まさにとだ、野上君も答えた。
「絶対に」
「だからじゃよ」
「ヤクザ屋さんやチーマーで、ですか」
「実験をするのじゃ」
「実験はいいですが人間にしますと」
 それはとだ、野上君は博士に話した。
「本当にマッドサイエンティストですね」
「そうであろう、マッドサイエンティストとはじゃ」
「人の命は何とも思わない」
「そしてまた言うが倫理観もじゃ」
 これもというのだ。 
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