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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二百五十一話 幕末の料理その二

「一つ残ったのがあるのよ」
「それは何かな」
「ふわふわ卵なの」
「ふわふわ卵って」
「私達が今回作ったお料理だけれど」
 それがというのだ。
「知ってる?」
「確か」
 僕はその料理の名前を聞いてラブポーンさんに答えた。
「近藤勇さんの」
「料理部も幕末と維新意識してね」
「お料理出していたんだ」
「だからね」
 それでというのだ。
「ふわふわ卵も作ったの」
「近藤勇さんの好物だから」
「そうだったけれど」
「残ったんだ」
「評判よかったけれど」
「作り過ぎたんだ」
「ちょっとね」
 ラブポーンさんは僕に困った顔で答えた、ラブポーンさんにしては珍しい顔だった。
「これが」
「ふわふわ卵って作りやすかったんだ」
「そうなの、しかも卵とか食材もね」
「安かったんだ」
「そうなの、だからね」
 それでというのだ。
「沢山作って売れたけれど」
「それ以上に作ってしまって」
「それでね」
「余って」
「そう、だから」
「僕にもだね」
「食べて欲しいのよ、あと少しなの」
 残っているのはというのだ。
「私達で一つずつ食べることになってね」
「ラブポーンさん達も食べたんだ」
「けれどまだ。あと少しにしても」
「残ってるんだ」
「もう私達は満腹なの」
 お手上げという言葉だった。
「本当に」
「それで僕に会ったから」
「そう、是非ね」 
 まさにと言うのだった。
「一個食べて欲しいの」
「そうなんだ」
「そう、そして」
 それでというのだ。
「どうかって聞いてるけれど」
「ふわふわ卵は」
 名前は聞いていた、近藤勇さんの好物としてだ。
 けれどそれでもだ、僕はラブポーンさんに答えた。
「食べたことないから」
「それじゃあ」
「食べていいっていうなら」
 これがいい機会だからだ。
「是非ね」
「それじゃあね」
「そしてね」
 僕はラブポーンさんにさらに話した。
「どんな味が確かめるよ」
「それじゃあね」
「うん、けれどね」
 僕はここでまた言った。
「近藤勇さんの好物にしては」
「違和感あるのね」
「あの人は」
「新選組の局長さんで」
「武張った感じがするから」
 この印象はどうしても拭えない、残っている写真でも拳を自分の口に飲み込めたというエピソードからもだ。 
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