夢幻水滸伝
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第百十五話 恐怖の正義その十一
だがそれでもとだ、芥川は言うのだった。
「けれどあの性格と行動がな」
「自分へのアタックがか」
「もう困るからな」
それでというのだ。
「ほんまにあかんねん」
「そうか」
「あれで僕に積極的にこんとな」
それでならと言うのだった。
「何でもないわ」
「そういうことか」
「そや、まああの娘が前に出て来たらな」
「その時はか」
「僕は去るからな」
「ほんまに苦手やねんやな」
「その通りや、まあとにかくあの娘には注意していくわ」
「そこまで苦手とはな」
リーもどうかと言ってきた。
「芥川にそんな相手がいるか」
「おるから言うねん」
「今こうしてか」
「そや、まあ他の奴は大丈夫やからな」
枢軸の彼等もというのだ。
「そやからあの娘が前に出たら去るだけで」
「それ以外の者達とはか」
「普通に話すわ」
こう言ってだった、そのうえで。
日本は枢軸の者達のもてなしに入った、そしてその枢軸の者達は今は平城京に向かっていた。その枢軸の者達の中でだ。
難波は空船の船首に立って実に楽しそうに後ろにいる女に話した。
「懐かしいなあ、日本」
「こっちの世界ではやな」
「そや、ずっとロシアにおってな」
「ウラジオストクから東方治めててな」
「そうしてたさかいな」
それでとだ、難波は女に言うのだった。見れば女はロココ期の赤い貴族の男ものの上着に白のズボン、そして編み上げ靴という恰好だ。赤髪を短くしていて小さめの顔にべっ甲の形の黒いサングラスをかけている。
その女がだ、難波に言うのだった。
「日本はこっちの世界ではな」
「ほんま懐かしいわ」
「祖国に帰って来たってことやな」
「そや」
その通りだとだ、難波は女に答えた。
「そう思うと感慨があるわ」
「そうか、まあうちもな」
女も言うのだった、ここでサングラスを外すと赤い目が出て来た。その目から彼女の種族が赤目であるとわかる。顔立ちは十八位の人間のコーカロイドの系の女だ。背は百六十位ですらりとした施うタイルだ。
天捷星マリーナ=アフマトーヴァである、ロシアウラジオストク出身で職業は官僚であり今は枢軸の内政を取り仕切る者の一人だ。。その行政手腕には定評がある。
そのマリーナもだ、難波に笑って話した。
「この喋り方の通りな」
「日本、いやちゃうな」
「関西大好きやで」
「自分はそやな」
難波は自分のすぐ後ろにいるマリーナに顔を向けて笑って話した。
「神戸とか大阪好きやな」
「そや、食べもんもな」
「たこ焼きとかお好み焼きとかな」
「めっちゃ好きや」
マリーナは難波に笑顔で答えた。
「おうどんとかもな」
「そうやな、ほなこっちでもか」
「折角日本に来たんやし」
「そういうの食べるか」
「そうしたいわ、しかしな」
「ああ、枢軸の星のモン全員連れて来るとかな」
「うちの女帝さんも雷帝さんも思い切ったわ、というか」
マリーナはさらに話した。
ページ上へ戻る