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八条学園騒動記

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第五百四十一話 研究室に戻ってその一

               研究室に戻って
 博士は今住んでいる日本の播磨星系第一惑星神戸が見えてきたところで二匹にいささかつまらなさそうに言った。
「海賊は出なかったのう」
「って海賊とか」
「戦いたかったんだね」
「戦うというより捕まえてじゃ」
 そうしてとだ、博士は二匹に話した。
「そのうえでな」
「殺すんだな」
「それも時間をかけてゆっくりと」
「そうしたかったが」
「けれど会わなかった」
「だからなんだね」
「残念じゃ」
 いささかという心境での言葉だった。
「まあこういうものは仕方ないわ」
「会わない時はか」
「それならだね」
「うむ、まあ旅は楽しんだしのう」
「ならか」
「よかったんだね」
「うむ、白装束の一団の正体もわかったしな」
 このこともあってというのだ。
「よかったわ」
「そうか、じゃあな」
「博士は満足しているんだね」
「うむ」
 その通りという返事だった。
「わしもな」
「そうか、ならな」
「研究所まで満足して帰られるね」
「これでな、そしてな」
 博士は二匹にさらに話した。
「研究所に帰ったらな」
「ああ、どうするんだ?」
 ライゾウは博士にソファーの上でくつろぎつつ話した。
「そうしたら」
「また兵器を造るか」
「そうするのかよ」
「今度は移動要塞を造るか」
「移動要塞?」
「蜘蛛をモチーフとした形のな」
 博士はライゾウに自分が今度造ろうと思っているものがどんなものか多少であるが具体的に話した。
「そうしたな」
「蜘蛛かよ」
「うむ、ガシャガシャと動くな」
「何か面白そうだな」
「生物をモチーフとするとな」
「このメカラドンもそうだよな」
「これが存外面白いものが出来るのじゃ」
 こう言うのだった。
「これがな」
「そうなのかよ」
「完全なオリジナルから造るのもよいが」
「生きものをモチーフとするとか」
「面白いものが出来る、蜘蛛にしてもな」
 この生きものもというのだ。
「あの形故にな」
「八本足のか」
「長いな、そして目も多いであろう」
「蜘蛛の目ってそうだよな」
 実際にとだ、ライゾウは博士に答えた。
「幾つもあるな」
「牙もあってな」
「そうした形だからか」
「モチーフにして兵器を造るとな」
「面白いものが出来るか」
「そうじゃ」
 まさにというのだ。
「だから今度はな」
「蜘蛛をモチーフにするか」
「うむ、そしてな」
 博士はライゾウにさらに話した。 
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