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魔法少女リリカルなのは平凡な日常を望む転生者 STS編

作者:blueocean
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第5話 巻き込まれた学友

 
前書き
こんにちはblueoceanです。

繁忙期で全く余裕が無く、やっと書き終わりました。
そして気が付けばクリスマス………

今日も仕事で特に予定も無し。
予定のある人は素晴らしいクリスマスを………
 

 
新暦73年6月………


「また雨か………」

ジメジメとした6月のある日。
先ほど止んだばかりの雨が再び降り始めていた。

「べっとりした空気が嫌だよな………」
「気持ちまで萎えちゃうよね………」

2年生になって早2ヶ月。
セッテ達がこっちに来た秋から半年以上経った。彼女達も今ではすっかり常識人に………なってればな………

「レイ、怠けている暇は無いぞ。今日はライと一緒にみっちり勉強する日だからな」

そんな厳しい声を掛けたのは夜美。
今年は夜美とライが同じクラスだった。
それを知った星は職員室に殴り込みしに行こうとしてアリサたちにも協力して貰ったのは良い思い出だ。
因みに同じクラスの桐谷とフェリアは時々発作みたいに暴走する星の歯止め役として毎回奮闘している。

星もおかしくなるんだなとつくづく思った瞬間だった………

因みに俺と同じCクラスはライ、夜美、明人、植川。
星、桐谷、フェリア、すずかがAクラス。
そして………

「レイ助けてもう無理~!!~僕もう無理~!!もう留年してやる!!!」
「何馬鹿な事言ってんのよ!!いいからやりなさい!!」
「そうっス留年すればライ姉も私達と同じ!!この学校をワンダフルにするっスよ!!」
「アンタは黙ってて………!!」
「何だよワンダフルって………」
「って言うか何でこのクラスにいるのかな彼女は………」

突っ込んだのはアリサ。唯一省かれたD組の一員。そしてもう1人はウェンディ。
入学して2ヶ月で堂々と上級生のクラスに混じってるのはコイツ位だろう。

アリサはライの勉強を見てくれてるから良いとして、ウェンディお前は何でここにいるんだよ………

「当然ダーリンに会いに来たっス!!」

そう言って明人にウィンクをするウェンディ。その攻撃を明人はデコピンで返してウェンディは座っていた椅子から真後ろに落ちた。

「………ってコントか!!」
「流石ダーリンっス、その変わったツッコミが私も燃え上がらせるっス!!!」
「はぁ………」

流石の明人も疲れ気味だ。

「頑張れ………」

そもそも何故こうなったのかを話さなくてはならない。
そしてこれは明人と植川が俺達の秘密を知った事件でもあった………











新暦72年5月………

「零治、桐谷今日翠屋に寄らないか?」
「ああいいよ」
「俺も大丈夫だ」

5月のゴールデンウィーク明けの学校の帰り道。
桐谷と明人と一緒に帰っていた俺達は明人の誘いで翠屋に寄る事となった。

「こんにちは~!!」
「あら、いらっしゃい」

そんな俺達をいつもの優しい笑顔で迎えてくれる桃子さん。
相変わらず店は若者達(特に女性)で賑わってた。

「お疲れ様です」
「今日は零治君達も来たのね」
「零治君達も?」

「ほらあそこ………」

そう言って桃子さんの指の先には………

「美味し~い………」
「だな」
「幸せそうですね」
「でも確かに美味いっスよね………」
「だけど私はやっぱりここのコーヒーが一番かな………」

「ダメっ子達とフェリア、来てたのか」
「それに何故か植川も混じってるな」
「そう言えばフェリアさん、帰りの時に誘ってたっけ………」

フェリアが有栖家と加藤家の人間以外を誘った事実に驚く俺と桐谷だったが、取り敢えず3人は彼女達の元へ向かった。

「ういっす」
「あっ、レイ兄、桐谷兄………そして誰っス?」
「まあ知らないよな。同じクラスの吉井明人だ」
「よろしく。………確かフェリアさんの妹さん逹だったよね」

「ああそうだ」
「じゃあ自己紹介を。私はセイン・イーグレイ。この3人の中では一番上です」
「私はノーヴェ・イーグレイ2番目です」

「そしてそしてそしてー!!!私が聖祥中学生徒会生徒会長、ウェンディ・イーグレイっス!!頭が高い、控えおろうー!!」

「「このバカ(アホ)!!」」
「ふごっ!?」

桐谷とフェリアから同時に拳骨喰らい、悶えるウェンディ。

「………まあ一番下は頭が残念だけど悪い奴ではないから………」
「あ、ああ………」

流石の明人も面食らってるみたいだ。

「じゃあ私も。私は植川雅です」
「「「自己紹介してなかったの!?」」」







まあ特に極度の人見知りなんて人は居ないので、ものの10分程で馴染んでしまう。
男女で席は別れているが、混んでる中、隣の席に座ることができたのも大きいだろう。

「あっ、もう6時だ!」

ふと時計を見た植川が叫ぶ。
楽しい時間はあっという間で既に時間は6時になっていた。

「今日、用事があったの!ゴメンね先に帰るね」
「じゃあお開きで良いか」
「そうだね」

桐谷の問いにセインを始め、皆が頷いた。
既におみやげも確保済みなので会計だけだ。

「………あれ?」
「セインどうした?」
「ノーヴェ、今魔力反応無かった?」
「いや、私は無かったよ」
「チンク姉は?」
「私もだ」
「じゃあ気のせいかな………」










その頃、海鳴市の隣、遠見市の遥か上空、空を飛んでいた3つの影があった。

「くそっ、ガセじゃねえか!!」
「まさか管理局の罠だったとは………何とか逃げ出したがここは………」
「………管理外世界の地球って所だな」
「地球だって!?それってあの歩くロストロギアがいた世界か!?」
「ふざけんな!!どっちにしても危険じゃねえか!!」
「だがあのままじゃ確実に殺されてるぞ!!あの黒の亡霊は俺達犯罪者を捕まえようなんて思ってねえ!!それにこの地球には今、魔導師はいない筈だ!!ここは何処かに隠れて時間が過ぎるのを………」

「目標発見………」
「不味い!!」
「見つかった!!!」
「殲滅………」








『終わったね』
『はい、死体も処理完了しました』

夕暮れに潜むように深い森に佇む黒い影。
それを挟むように2つのディスプレイがその場で話をしていた。

『どうだいクレイン、完成度は?』
『フィールドの強度はともかく、装甲の硬さはオリジナルにも充分引けを取らない出来上がりですね』
『それは重畳。しかしフィールドはまだ完全じゃないか………』
『佐藤加奈のデバイスの件ですが………』
『本局への勤務を勧めてはいるのだがね、本人は神崎君と同じ武装隊を望んでいていね………いやはや困ったものだ』
『………そういう割には嬉しそうですね』
『いやはや、彼らは中々見処があってね………』
『………ヴェリエ様』
『いやぁ、済まない済まない。まあデバイスのデータの件はどうとでもなる』

「あの………ドクター」
『どうしたイクト?』
「ブラックサレナ、何処かへ転移してしまいました」
『何!?』
『どこへ行った!?』
「この方角ですと………隣の海鳴市みたいです」
『追え、イクト!!』
「はいドクター」

その場にいた紫の髪の女性は颯爽と空に飛び上がった………










それはいきなり現れた。

「は………?」
「何………?」

全身黒い装甲に覆われた2m程のロボットの様な存在。
これは紛れも無く………

「零治のブラックサレナ………」
「クレイン………!!」

小さいながらも思わず感情的に声を出してしまった。

「目標………高ランク魔導師2名。これより殲滅します」

そう言うと両腕に魔力刃を展開するブラックサレナ。

「こんな街中で!?」
「セレン!!」
「はい結界を張ります!!」

桐谷の命令によりこの辺り一帯が結界に覆われた。

「これは………」
「何………?」

「フェリア、ノーヴェ、セイン、ウェンディ、2人を頼む」
「ああ」
「分かってる」
「任せて」
「2人も気を付けてっス」

そう言って4人は一般人である明人と植川を連れて行った。

「桐谷」
「ああ、やるか」

そう言って2人は並んで立つ。

「ラグナル」
「セレン」

「「セットアップ」」

2人は光に包まれた。









「ここまで来れば一安心だろう」
「レイ達だけで大丈夫かな?」
「あの2人なら大丈夫だろう。それよりセイン、警戒を頼むぞ。あれ一体だけとは限らないからな」
「うん分かってる」


「ねえノーヴェちゃん、これはどういう事?」
「何があったんだよ!?」
「ごめん、安全になったらしっかり説明するから………」
「だけどさ………」
「ごめんっス明人先輩。今のんびりお話し出来る状況でも無いんスよ」

さっきとは違い真面目な顔なウェンディの顔を見て、渋々明人も黙ったのだった。







「行くぞラグナル」
『マスター、ブラックサレナじゃなくて良いんですか?』
「バルトマンの時の戦いを見られてる以上、気にする必要は無いのかもしれないが、今までバレていない所をみると広がってないみたいだからな。こんな感じでブラックサレナが出回っている以上、あまりなるのは得策じゃない」
『なるほど………』
「おしゃべりは後だ!!来るぞ!!」

桐谷に怒鳴られ、零治はブラックサレナの方を確認する。
素直に真っ直ぐ向かってくるブラックサレナに2人は左右に散開し直ぐに挟み撃ちするように向かっていった。

「ハンドガン展開」
「くっ!?」
「何!?」

しかし魔力刃だった両腕が銃に変わり、そこから魔力弾が連射される。

『マスター!!この魔力弾、殺傷設定になってます!!』
「なるほど、殺す気で来ているって事か………だが問題はないだろう」

桐谷は冷静に向かってくる魔力弾を相殺しながら言う。

「そ、桐谷の言う通り。当たらなければ問題ない」

零治は向かってくる魔力弾をサイドステップで躱し続ける。

「武装変更………デュアルレールガン展開」

ブラックサレナの両腰にレールガンが展開された。

「どこまでも俺と同じか………」
「だがそれなら………!!」

そう力強く呟いた桐谷はブラックサレナに向かって駆け出した。

「桐谷!!」
「零治と同じならレプリカ如きに負けはしない!!………地斬疾空刀!!」

右腕のブレードを展開し、相手のレールガンを紙一重で躱しながらも下から斬り上げた斬撃を与えた。

「どうだ!!」
「フィールド展開………損害ゼロ」
「なっ!?」

驚きに動きが止まった桐谷にレールガンが直撃する。

『バリアフィールド』
「助かったセレン!」

咄嗟に左腕でガードしたお陰でバリアフィールドに救われた桐谷。

「今度は俺が!!」

桐谷の後ろから刀を鞘に納めたままブラックサレナに突っ込む零治。

「蹴りの乱舞!!」
『四葬天幻!!』

ブラックサレナの周囲を回るように連続で蹴りを繰り出す零治。
フィールドは展開せず、自身の装甲ですべて受けた。

「フィールドが発動しない!?………もしかして零治の物とは違い、ロングレンジの魔法しか防げないのか?………なら!!」

そう思った桐谷は右腕のブレードを構え、再びブラックサレナに向かって突っ込む。

「零治、バック!!」

桐谷の叫びを聞いた零治はその場から転移で数メートル先に下がる。

「白虎咬!!」

右腕のブレードで装甲を突き、左手に貯めた魔力をそのままぶつけた。
大きな爆発が起きたものの、致命傷には程遠い。

「ちっ!?」
「今度は俺だ!!全てを斬り裂く!!」
『獣破轟衝斬!!』

横への斬り払いの後、凄まじい魔力を纏った刃で上空へ大きく斬り裂いた。

「これで!!」
『マスター、タイミングバッチリです!!』
「………零治!!』

ダメージを受けて固まっていたブラックサレナだったが、最初に腕が動き始め、その後立ち上がった。

「損害40%……………作戦行動支障無し」
「マジか!?」
『技の中でも威力がある技なのに………』

そんな驚きも束の間、ブラックサレナは直ぐに次の行動に移ろうとしている。

「………零治」
「何だ桐谷?」
「奴の動きを少し止めててくれ。俺が奴を沈める」
「何をする気だ?」
「セレンの奥の手さ」

そう言って腕を前でクロスして構える。

『桐谷さん、一体何を………』
「桐谷の本気って事かな………ラグナル、相手の足を止めるぞ」
『分かりました』

ラグナルの返事を聞いて零治は駆け出した。









「フェリア姉!!高速でこっちに何か向かって来てるよ!!」

セインの言葉にその場にいた全員の顔に緊張が走る。

「くっ!?やはり1人だけでは無かったか」
「こうなったら私もレイ兄達の手伝いを………」
「お前はエリアルボードが無いと無能なんだから黙ってろ!!」
「そんな馬鹿な………」
「まあ簡単に言っちゃうと物を浮かせるだけだもんね」

ノーヴェの言葉で雷が落ちたような顔をするウェンディ。
更にセインの手厳しいツッコミに流石に黙って居られなかったのかセインを睨みつける。

「地面に潜るだけのセインには言われたくないっス!!!」
「この能力ドクターにかなり貴重って言われてるんだからね!!!」
「黙れ2人共、今は非常時なんだぞ!!!」
「「うるさい脳筋」」
「何だそれ!?私の能力の事でか!?能力の事でか!!」

「ねえフェリアちゃん、妹さん達喧嘩始めちゃったけど………」
「いつも通りだから気にするな」
「さっきまで真面目だったのに本当に締まらないなぁ………」

そんな3人の妹達を見ながらフェリア、植川、明人は話していた。
すると………

「この空間に誰かいたと思えばまさかスカリエッティの戦闘機人達とは………」

上空で女性の声が。
聞き覚えのある声でフェリア達姉妹は驚いて上を見上げた。

「ウーノ………?」
「ウーノ姉だ………」
「何で………」
「ウーノ姉ー!!!」

驚く3人とは違い1人だけ手をふるウェンディ。
そんな空気が読めないウェンディについでに驚いた明人だったが、隣の植川が珍しく真面目な顔で上空を飛んでいる女性を見ていたので、我に返り、植川に声を掛けた。

「どうした植川?」
「………どうやったら空飛べるんだろう………」
「………」

もはや突っ込む気力も無くなった明人だった。

「私はウーノではありません、イクトと言います。それより何故こんな管理外世界に………まさかスカリエッティも………!!」
「………残念ながらドクターは別だ。私達は居候しながら学校に通っている」
「学校………?まさか戦闘機人のお前達が?」
「戦闘機人だから何スか!!常識を知らないで本当の戦闘機人を名乗れるんスか!!」
「ちょっとウェンディ………」

「戦闘機人………?」

会話を聞いていた明人と植川が怪訝な顔で話を聞いていた。
そして1番気になった言葉をつい漏らしてしてしまった。

「そうか、そこの人間は何も知らないのだな。彼女達、いや私も含めてだが私達は人間ではない」
「人間では………無い………?」
「そう私達は「やめろ!!!」………私達はそれぞれのドクターにより、造られた人間、言葉を変えれば人造人間。正しく言えば体の至るところに機械を埋め込んだ戦闘を目的に造られた戦闘機人なのです」

その言葉を聞いたフェリア達4人が何も言えず俯いてしまう。

「そうか………」
「………」

明人はそう呟き、植川は俯いたまま反応が無い。

「さて、余計な話をしてしまいました。済まないが口止めとしてここにいる全員には死んでもらいましょう」

そう言って両腕にブレードを展開するイクト。

「エネルギーブレード!?」
「それだけでは無いですよ」

そう言うと今度はイクトの周辺に丸いスフィアが大量に展開される。

「これは魔力!?」
「私のドクターは優秀ですので。今の戦闘機人はISだけでは無いのですよ。………スフィアレイ、全てを貫きなさい」

そう言うとフェリア達に向かっていく大量のスフィア。

「くっ、ISランブルデトネイター!!」

いち早く先頭に立ったフェリアは懐のポケットに入れていたコインを空中にばらまき、一斉に爆発させた。

「セイン、ウェンディ2人を安全な場所に!!ノーヴェは2人が逃げるのに殿を!!アイツは………私が!!」
「フェリア姉!?」
「1人じゃ無理っスよ!!」
「どっちにしてもセインとウェンディは邪魔だ!!私はエアライナーを展開して援護出来る。さっさと2人を!!」

そうノーヴェに言われて、渋々セインとウェンディは明人と植川を連れ、逃げ出した。

「逃がさない、行け」

スフィアを動かし、その後自分も地上に向かって急降下する。

「行かせん!!」

ナイフを取り出したフェリアはイクトを行かせない為に片手で再びコインを投げ爆発。
その後向かってきたイクトを受け止めた。

「ノーヴェ、スフィアを!!」
「エアライナー!!」

空に描いた不規則な道にスフィア達が次々に直撃し、消えていく。

「中々やる………!!」
「よそ見をする暇があるのか?」

そんなイクトの隙を逃さず、バックステップで下がるとナイフを投げつけ爆発させた。

「くっ、次から次へと爆発を………」
「もう遅い!!足を止めた時点で私の勝ちだ!!」

先ほど使っていたナイフよりも少し長い、スティンガーを空中でイクトを囲む様に展開したチンク。
そして………

「オーバーデトネイション!!」

一斉に爆発させた………











「魔神連牙斬!!」

フィールドを張られながらも魔力の斬撃を連続で飛ばし続ける零治。
フィールドを張ったまま突っ込もうとするが、魔神剣の斬撃により、完全に足を止められていた。

「零治、準備OKだ!!」
「よし、後は任せる!!」
「行くぞ、フルドライブ!!」

それと同時に桐谷の身体全体が青白い光に包まれる。

「コード麒麟!!」

今までとは比べ物にならないスピードで駆けていく桐谷。

「はああああああああ!!」

フィールドを張られた状態から右左と腹部、頬にパンチを決め、蹴りで上から地面に叩きつけた。

『全てフィールド貫通しています!!』
「初めの模擬戦でやられていたらまずかったかもな………」

ラグナルと零治と話している内に桐谷の右腕のブレードが更に輝きをます。

「これでチェックだ!!」

そしてそのブレードで一気に下から上に斬り裂いた。

「損害………90%過剰………作戦行動………不可………」

装甲をバラバラにされならがらそんな機械音が響き、完全に停止するブラックサレナ。

「やったな!」
「始めて実戦で行なったが、上手くいったな。だが、後は………!!」

桐谷は言葉の途中ブラックサレナを見て驚きに固まった。

「桐谷?………!!」

不審に思った零治も桐谷と同じくブラックサレナをみると、その砕け散った装甲の中にいたのは………

「ロボット………」
「待て零治!!奴はさっきまで魔法を使ってたんだぞ、あのブレードもレールガンから発射された砲撃も魔力だった!!」
「分かってる、ラグナルだってちゃんと確認した」
「リンカーコアは人に元々備わってる物じゃないのか!?」
「まあ生物にだけど。………まあそれについて一つ心当たりがある」
「心当たり………?」
「それは後で話す。今はフェリア達と合流するのが先だろ?桐谷」
「………ああ、そうだな。済まない零治」
「いいさ、それじゃあ急いで行くぞ」

零治達は急いでその場を後にした………












「………これは素晴らしい攻撃だ。金属を爆発させるらしいが密閉された場所でこの攻撃をされたら手も足も出なかった。しかしこういう外部では別だな。逃げる場所があればどうとでもなる」

上空から冷静に推測され、フェリアは思わず下唇を噛んだ。

「そんなの分かっているさ………」

既に隠し持っていたナイフもスティンガーもコインも無く、完全に追い込まれた状態のフェリア。
嫌な汗が頬を流れる。

「さて、あまり時間もかけていられないのでな、これで終わらせる。ハイブレード」

両手のブレードが通常よりも長くなり、そのブレードをフェリアに向けた。

「フェリア姉!!」

エアライナーを迷宮のようにぐじゃぐじゃに展開するノーヴェ。

「よせ!!使いすぎだ!!」
「良いからフェリア姉逃げるよ!!私達はこんなところで死ねないんだ!!」
「ノーヴェ………」

「邪魔よ!!」

しかしそんなエアライナーも直ぐに斬り裂かれ、時間稼ぎにもならない。

「ここは私が何としても抑える!だからノーヴェは早く逃げろ!!」
「い、嫌だ!!」
「たまには姉にも良い格好をさせろ………良いから行け!!」
「でも………」

「逃がしませんよ!!!」

そんな2人に決める時間を与える事無く、向かってくるイクト。

「行け、ノーヴェ!!」
「くっ………フェリア姉………」

ノーヴェは涙を流しながら背を向け駆け出した。

「行かせるか!!」

スフィアを操り、ノーヴェを攻撃しようとするがそこに小さな爆発が起こった。

「………まだ持っていたのね」
「妹達には手を出させん」

財布から小銭を数枚手のひらで握り、言う。

(これが無くなれば私の手持ちの金属は無くなる、そうなったら後は………)

近くにあったビルを横目に見ながらそう思うフェリア。

(あそこに誘い込んでビルを爆破すれば奴を倒せずとも足止めは充分出来る)

覚悟を決めたフェリアは真っ直ぐイクトを見つめ、手に握っていた小銭を投げつけた。

「くっ、まだそんなに………!!」
「ISランブルデトネイター!!」

その小銭達は一斉に爆発する。その好きにフェリアはビルに向かってダッシュした。

「くっ、甘く見すぎた………だけどこれで終わりね、スフィア行け!!」

今度はフェリアに向けスフィアを向かわせる。

「あぐっ!?」

スフィアから発射されたレーザーの様な魔力弾はフェリアの足をかすめる。
そして足を止めてしまった。

「しまっ!?」
「さようなら、レイフォール!!」

リングを作るように並んだスフィア達から、光の柱のような砲撃魔法がフェリアに向かって放たれた………










「零治!!」
「ああ、ウェンディ達だ。よかった無事で」

戦闘後、フェリア達の元へ急いでいると、走ってこっちに向かってくる4人がいた。

「零治!!桐谷!!」
「うわぁ空飛んでる!!」

心配そうな顔で声をかける明人と対象的に興奮して手を振る植川。

「2人共済まない巻き込んでしまって………」
「ああ、それは構わないけど、あまりにも現実離れした話で正直頭がこんがらがってる」
「ノーヴェちゃん達も普通の人達とは違うって教えられたし」

植川がそう言うとセインとウェンディが俯いた。

「………一体何があった?」
「その前にフェリアとノーヴェはどうした?」

桐谷がそう言うと俯いていた2人が慌てて顔を上げた。

「そうっス!!私達いきなりウーノ姉に似た戦闘機人に襲われて、フェリア姉とノーヴェが足止めに残ってるんス!!だけどフェリア姉もちゃんとした武器を持ってないしノーヴェもガンナックルが無い状態でかなり危険な状態なんスよ!!!」
「くっ、フルドライブ!!!」
「桐谷!!」

フルドライブ状態になった桐谷はそのまま2人の元へ飛んでいってしまった。

「速い………」
「すっご~い………」

「2人共………」

残った零治は何とも言えない顔で2人に近づく。

「隠していた事、こうなった以上全てを話す。俺の家族の事や桐谷の事も」
「分かった。でも先ずは全員揃ってからだ。俺達も戻ろう、フェリアさん達が心配だし………」
「そうだね、任せっきりなのも良くないし、そうしよう!!」

「セイン達もいいな?」
「うん!!」
「当然っス!!」

セインとウェンディの了承を得て、5人で急いでフェリアの所へ向かうのだった………











「………何だお前は?」

フェリアはもうどうしようも無く、為すがままだったが、いきなり浮く感覚がしたと思えば凄いスピードで誰かが運んでくれたのが分かった。

「フェリア、危なかったね」
「ライ………?」

そこにはハーケン状態にしたバルフィニカスを持ったライが居た。

「何故ライがここに………?」
「バッティングセンターでストレス解消してその後家に帰っていたら、いきなり結界が張られた場所を見つけて慌てて来てみたら、フェリアが追い詰められてたからダッシュで来たんだよ!!………でも何をしてるのトーレさん、自分の妹達を攻撃するなんて………」
「妹………?違うわよ、確かに私もトーレと同じデータを元に造られたけど、彼女とは比べ物にならない程の性能よ、一緒にしないでほしいわ」
「でも僕からしたらトーレさんの方が好きだよ」
「それはあなたの感性よ、私は特に気にする事では無いわ。1人増えようが問題無い、ここで消させてもらう」

そう言って再度スフィアを出現させるイクト。

「ライ気をつけろ!!それは………「青龍鱗!!」」

そんなフェリアの指摘の途中にイクトに向かって複数の魔力弾が飛んできた。

「くっ、一体………」

「間に合ったか………」
「フェリア姉、無事!?」

「桐谷、ノーヴェ………!!」

魔力弾を放ったのは桐谷、そしてノーヴェは途中桐谷に会い、ここまで運んできてもらった。

「まさかこんなに短時間でブラックサレナを倒すとは………」
「所詮まがい物だ。俺や零治の敵じゃない。零治では無いが、俺の家族に手を出すんなら覚悟してもらうぞ、フェリア達と同じ戦闘機人だろうと容赦しない………」

両腕を構え、イクトを見据える桐谷。

「僕も、同じだよ、フェリアは家族なんだ。こんな酷い事されて黙っていられないよ………」

桐谷と同じくハーケンをザンバーに変えたライが構え相手の動きを見る

「………これは手を抜いて勝てる相手ではなさそうだな………仕方がない私も奥の手を………」

そんな時、イクトに向かって小さなディスプレイが展開された。

『イクト、帰還しなさい。流石の君でもこの2人を相手では厳しいだろう』
「しかしドクター………」
『帰還しなさい』
「………了解しました」

ディスプレイが閉じるとイクトの下に魔方陣が展開される。

「何これ!?」
「済まないがドクターに帰還命令が出た。本日はこれで終わりだ」
「待て!!」

桐谷が慌てて捕まえようとするが、魔方陣から光の柱が現れ、それが柱となり桐谷を弾き返した。

「くっ!!」
「「桐谷!!」」
『また会いましょう、スカリエッティの戦闘機人に地球の魔導師達。次は必ず消します』

そう言ってイクトは消えていった………











「フェリア!!」
「フェリア姉!!」

「だ、大丈夫だ………まあライが来なければ危うかったが………」

もの凄い勢いで迫られ、その勢いに後ろへ倒れそうになったフェリアだが、何とか持ちこたえ、そう言葉を返した。

「良かった………足止めをするって言ったときは本当にどうなるか………って私………」
「ノーヴェ………」

涙を流しながら話すノーヴェを優しく抱きしめるフェリア。

「何が戦闘機人だ………俺達と変わらない人なのに………」
「桐谷?」

「零治………やっぱり俺はのんびりしてるのは苦手みたいだ………」

隣に居たライにも聞こえないほど小さな声で桐谷は呟いた………














「先ずはみんな無事で良かった………」

時間は既に19時を回っていたが、取り敢えず誰もいない高台へと集まる俺達。
あの時戦ったブラックサレナは爆破されていてその場には跡形も残っておらず、行き際にラグナルが撮った映像しか残っていなかった。

高台に行く途中に家に連絡して星と夜美にも来てもらい、合流してから今回の事を話した。

「それと明人と植川、巻き込んで悪かった」
「もういいさ、みんな無事だったんだし」
「そうだね、みんな何も無くて良かったよ!!」

そんな2人の言葉にその場にいたみんな安堵した。
やっぱりこの2人は優しいや。そしてだからこそ包み隠さず話そう。

「俺達は実は………」










「魔導師か………」
「魔法がある世界ってあったんだね………」

やっぱり俺達が話す事は信じられない事ばかりな様でずっと驚いた顔で聞いていた。

「因みに戦闘機人の事はアリサやすずかも知らないんだ、だからこの事は誰にも言わないで欲しい」
「ああ、分かってる」
「うん、私は口は固いから安心して!!」

自信満々で力強くガッツポーズしたが天然な植川だけに安心できない………

「あの………」

そんな2人におずおずと話しかけるウェンディ。
フェリアは割り切っているのか、バレた時も一番動揺していなかったと明人に聞いた。
やはりその辺りはくぐった修羅場が違うのだとつくづく感じた。

「私達は………普通の人間じゃないっス………気持ち悪いって思われるかもしれないっスけど………できれはこれからも仲良く………」

最後の方は皆に聞こえるか微妙な程弱々しく話すウェンディの姿は俺も、この場にいる皆が一度も見たとこが無かった姿だった。今にも折れてしまいそうでいつものウェンディらしさは全く無かった。
後ろを見るとセインとノーヴェも同じ様で俯いたまま動かない。

「………ウェンディ」

そう名前を呼んで明人はゆっくり近づく。
そして優しくウェンディの頭に手をあてた。

「ウェンディはウェンディだろ?初めて今日あったけど、明るく、テンションが異様に高くて、変な子だと思ってたけど、姉思いで優しい末っ子だとも思ったよ。戦闘機人?俺から見たらただの女の子にしか見えないよ。だから気にしなくていい。君達はみんな立派な『人』だよ。あの敵の彼女みたいに人形じゃない」

「明人………先輩………」

そう呟くと明人の胸に頭を当て、静かに泣き始めた。

戦闘機人。
初めこそその存在に何も感じなかったであろう彼女達も俺達と共に地球で過ごす内に、人として違う自分達にコンプレックスを抱き、内心ではバレる事を恐れていたんだろう。

「そうだよ、私もそんな事じゃ嫌いにならないよ。むしろもっと仲良くなりたいと思っちゃった!!みんな何か得意技あるんでしょ!!今度見せて見せて!!」

いつもながら空気を読まない植川だったが、その天然が今回は空気を和ませる。

「………うん!!今度見せてあげるよ、だからまた遊びに行こう!!」
「うん、約束ね!!」

そんな植川とセインの会話で皆が笑顔になる。

「さあ、帰ろう。また明日も学校だ」

こうして俺達はそれぞれ解散したのだった………










「呆気なくやられたね」
「………済みません」

暗い部屋に2人の男性が話していた。

「まあ仕方がないさ、まだ完全でも無いんだ。これからの発展を期待するさ」
「………お任せを」
「それともう地球には極力ちょっかいを出さないでくれ」
「何故ですか?彼らの実力であればこちらも良いデータを取れるのですが………」
「地球は管理外世界ではあるが地球出身の魔導師は誰もが高ランク魔導師、出来れば敵になるような事は避けたい」
「神崎大悟、佐藤加奈、高町なのは、フェイト・T・ハラオウン、八神はやてとヴォルケンリッター………確かに大物揃いですね。ですがだからこそ………」
「クレイン、これは決定事項だ」
「………了解しました」

そう返事をしたクレインはそのまま静かに部屋を後にした………











「まあこんな事があったんだよな………って!!」
「何をボーッとしてるのだレイ?」

教科書を丸めた棍棒で夜美に叩かれて我に返る。

「いや、ちょっと明人達のあの夜の事を」
「ああ、あの事件か………」

未だにラブラブアピールを続けるウェンディとそれをツッコミながら交わし続ける2人のやり取りを見て呟く。

「巻き込む形にはなったがウェンディ達には大きな存在になったな」
「あんなに悩んでるとは俺も思わなかったからな………」
「まあそれはもう、済んだ事だ。さあ続きを始めようか、星が来る前に」
「………そうだな」

こうして勉強を再会する俺だったが、後に星がやって来て勉強を教えるのは私だと夜美と喧嘩を始め勉強にならなくなるのだった………  
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