八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二百四十八話 剣道家その十四
「必ずな」
「彼が知っていてもだね」
「よりよく知ってもらう為だ」
まさにその為にというのだ。
「ここはだ」
「是非だね」
「私は話す」
「それがいいね。知り過ぎて悪いことじゃないからね」
「麻薬の恐ろしさはな」
「毒だ」
留美さんは麻薬についてこうも言った。
「人をゆっくりと殺していくな」
「大帝の毒はすぐ効くけれどね」
一服盛った場合等はだ。
「そうなるけれどね」
「麻薬は違うな」
「徐々に身体を蝕んで」
「その日に死ぬことはないが」
身体の中にだ。
「それでもだ」
「死ぬ、破滅させるからね」
「やはり毒だ」
「そうだよね」
「毒について知り過ぎることはない」
「あれをやってよくなった人いないし」
アーチストでも誰でもだ。
「留美さんの言う通りだね」
「よりよく知るべきだな」
「本当にね」
「私もそう思うからな」
「だからだね」
「幸いこの街も京都もな」
留美さんの出身地もというのだ。
「出回っていてもな」
「あくまで密かでね」
「蔓延っている程ではない」
「東京の一部とかね」
新宿の裏通りなんかは結構らしい、とはいっても僕もこの話は聞いただけで真相はよくは知らない。
「結構らしいからね」
「日本はまだましでな」
「アメリカのスラムとか凄いらしいね」
「合法になっている国もあるしな」
「オランダとかね」
「あんなものを合法化するとな」
それこそ煙草の様にだ。
「もうね」
「大変なことになってるしね」
オランダは実際にそうなっている、けれどそのオランダでも覚醒剤は流石に合法化されていないみたいだ。
「だからだね」
「知り過ぎて悪いことではない」
「最初からしない為にもね」
「覚醒剤中毒の話は怖いものばかりだ」
留美さんの顔がさっと白くなった、そのうえでの言葉だった。
「あんなものはだ」
「それこそだよね」
「しないに限りな」
「知り過ぎて悪いことじゃないね」
「おぞましい吐き気を催すものでも」
そんなものでもとだ、留美さんはこうも言った。
「知っておくべきこともある」
「それが世の中だね」
「そうだな、ではそろそろな」
「道場だね」
もう見えてきた、それも近くに。
「じゃあ木刀置かせてもらうね」
「運んでくれて有り難う」
「お礼はいい、確か今の時間道場は」
留美さんは僕にさらに話してくれた。
「合気道部が演舞を見せている」
「ああ、円香さんのいる」
「彼女も参加している筈だ」
その演舞にというのだ。
「よかったら見るといい」
「時間があれば」
「そうすればいい」
こう僕に話してくれた。
僕は木刀を持ったまま道場に入ってその中に持って来た木刀達を置いた、そうしつそのうえでまた留美さんからお礼を言ってもらった。
第二百四十八話 完
2019・8・16
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