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夢幻水滸伝

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第百十四話 朝に急変その三

「そう言う君も言うしな」
「そうね、太平洋の神星がこうして一同に集うとね」
「そうなるな」
「覇権争いのお話にね」
「そうなるな、しかし」
「それでもよね」
「これも親睦のうちだ」
「ほんまやな、一戦交えることになるけどな」 
 施は自分の杯に酒を入れつつ言った、メルヴィルから酒を差し出されたが笑ってそれはいいとして自分のことは自分でするという仕草でそうしたのだ。
「何だかんだでだ」
「私達の仲はね」
「決して悪ないからな」
「むしろええわ」
 シェリルはこう述べた、今度は。
「それもかなり」
「そやな、馬が合うわ」
 十人全員がとだ、中里も言った。
「悪い奴おらんしな」
「これが各勢力の星のモン全員やからな」
 メルヴィルは中里に応えて述べた。
「そやからな」
「余計にええな」
「悪い奴もおらんしな」
「まあ幾ら何でも性根が腐りきった奴に世界が救えるか」
 このことは芥川が言った。
「そや悪人でも世界を救うことはあるやろが」
「それでもな」
 羅は芥川に対して応えた。
「悪意しかない様な奴とかどうにもならん屑が救えるか」
「性格最悪の奴がな」
「そんな奴がな」
「普通は世界救えんな」
「というかそんなん考えるか」
 非常に性格の悪い者がというのだ。
「自分さえよかったらええとかな」
「そうなるな」
「世界なんてどうでもええ」
「現実見てるかどうか別でな」
「何処でもそうした奴おるしな」
 トウェインは自分が見て来た輩から述べた。
「ほんまに」
「おるな、ほんま」
 施はトウェインのその言葉に頷いた。
「そうした奴は」
「世界の何処にもな」
「色々なタイプおるけれどな」
「そんな奴が星のモンでおらんのはええことや」
「太平洋と地下世界にもな」
「それは有り難いな」
「悪人が世界を救うこともある」
 リーは冷徹な声で述べた。
「それは現実としてな」
「それでもっていうのね」
「悪人の質によるが」
「確かにあるわね」
「そんなこともな」
 こうシェリルに言うのだった。
「だがそれはだ」
「日本の諺であったわね」
 ここでシェリルはある言葉を思い出した、それは彼女が日本に来て暫くして本で知った古い諺である。
「何とかと鋏は使い様」
「悪人も然りだ」
「悪人も行動によってはね」
「人の役に立つ」
「そうなるわね」
「悪人が芸術的才能を持っている場合もあるしな」
 人格と才能は別ということだ、ワーグナーは平気で借金を踏み倒し弟子の妻を奪う様な人間だったが多くの歌劇を残している。
 
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