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夢幻水滸伝

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第百十三話 神星同士の会合その十三

「不健康やろ、人間でも無理して太った奴の内臓は」
「ああ、相当にな」
「所謂脂肪肝やぞ」
 これになるというのだ。
「それも相当に病的な」
「そんなん食うたらな」
「珍味でもな」
 味はいいにしてもというのだ。
「健康にはな」
「あまりよおないな」
「絶対にな」
「あたい牛や豚の肝臓好きだけれど」
 アレンカールは今歯鴨肉を食べているが肝臓はそこにはない。
「それでもね」
「フォアグラはやな」
「食べたことないし」 
「それにか」
「そうしたものだと」
 極端な脂肪肝ならというのだ。
「あまりね」
「食いたないか」
「何か食べ過ぎたら胸焼けしそうだしね」
「それはありそうやな」
「そこまで食べられるものでもないでしょうけれど」
「そう思うとフォアグラはか」
「あたい達ぶはね」
 どうにもとだ、アレンカールは話した。
「あまり縁のないものね」
「用意しよと思ったら出来るで」
 綾乃がここでこう言った。
「実は今も」
「出来るの」
「ええ、何時でもね」
 それこそというのだ。
「用意しようと思ったら」
「それで食べられるのね」
「食べられるで」
「そうなのね」
「けれど今平城京に集まってる星の子でそうしたの好きな子おらんし」
 それこそ一人もだ、どの星の者も実際に世界三大珍味だの貴族的な馳走には縁のない者ばかりである。
「そやから」
「出さへんのね」
「そやねん、私にしても」
 綾乃個人もというのだ。
「お刺身とか天婦羅は好きでも」
「ご馳走は」
「ご馳走はお寿司とか」
「そういうものね」
「それ位やね」 
 出すとすればというのだ。
「ほんまに」
「まあお寿司以上のご馳走とか」
 どうかとだ、芥川も食べつつ言った。
「ちょっとね」
「ピンとこんな」
「ええ、どうもね」
「牛の丸焼きあったな」
「ああ、あれな」
 トウェインと羅で話した。
「アルゼンチンの方もな」
「皆で食うあれな」
「あれはご馳走やな」
「特大バーベキューって感じやな」
「あれはご馳走やけど」
 施はその牛の丸焼きについてこう述べた。
「何かな」
「ここで言うてるフォアグラとかとちゃうな」
 メルヴィルは施のその言葉に頷いた。
「どうも」
「そやな」
「ちょっとな」 
「今話してるのとちゃうな」
「フカヒレは出ても」
 リーは中華の珍味を話に出した。
「燕の巣や熊の掌は出ない」
「私達の食事はそんな風ね」
 シェリルはリーのその言葉に頷いた。
「考えてみれば」
「そうだな」
「ご馳走でも庶民のご馳走ね」
「それが結論やね、ほな庶民として」
 綾乃は宴の主の座から笑って話した。
「今日はな」
「この鴨鍋をやな」
「お酒と一緒に楽しんでいこな」
 綾乃は中里に応えてそうしてだった。
 今は太平洋の星の者十人で宴を楽しんでいっていた、宴はまだこれからだった。


第百十三話   完


                2019・5・8 
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