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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二百四十八話 剣道家その十

「悪い人もいて」
「悪人を知ることもだな」
「経験だよ」
 それが心地よいか悪いかは別にしてだ。
「そうなるよ」
「そうだな」
「うん、ただいい人に出会えたら」
 この場合についてもだ、僕は留美さんに話した。
「悪い奴との出会いは財産でもね」
「気持ちいい財産ではないな」
「反面教師だからね」 
「ああはなるまいと思うな」
「そんなのだからね」
「気持ちのいい財産ではないな」
「本当にね、けれどね」
 それでもだ。
「いい人と出会えたら」
「気持ちよくだな」
「財産に出来るよね」
「その通りだ、そうした人は鑑だ」
 お手本だというのだ。
「まさにな」
「そうだよね」
「鑑にすべき人はな」 
 まさにとだ、留美さんも答えてくれた。
「出会うとな」
「いい財産だね」
「そうなるな」
「まあね、そうした人はね」
 手本にすべき立派な人はだ。
「本気で自分を尊敬しろとか言わないしね」
「それは恥知らずのすることだな」
「うん、本当に立派な人はね」
「そんなことは言わない」
 自分を尊敬しろなぞとだ。
「相当な恥知らずか愚か者だ」
「まあどっちにしてもね」
「取るに足らない奴でだ」
「そうした人も反面教師にすべきだね」
「そうだな、しかし」
 留美さんは今の話には眉を曇らせてこうも言った。
「自分を尊敬しろなぞとよく言えるな」
「留美さんそんなこと言わないよね」
「私は自分を尊敬される人間と思っていない」
「まあ大帝の人はそうだね」
「自分の至らない、嫌な点ばかり見るからな」
「自分が一番ね」
「そうするからだ」
 だからだというのだ。
「他の人にそんなことはな」
「普通は言えないね」
「本当にそんなことを言えるとな」
「恥知らずかだね」
「愚か者だ、それも相当なな」
「自分を知らない人だね」
「そんな奴もどうにもならない」
 留美さんはここでは断言した。
「箸にも棒にもならないというが」
「何かよくなるとも思えないね」
「自省しない、反省しない者なぞだ」
 それこそというのだ。
「成長するか」
「言うまでもないね」
「駄目なままだ」
 それもどうしようもなく低いレベルでだ、他の人に自分を尊敬しろとか本気で言う人間なんてそれこそどれだけ程度が低いか考えるまでもない。自分を全く顧みることがないからこそ言えることだからだ。
「どうにもならないまでにな」
「そうだよね」
「そしてだ」
 留美さんはさらに言った。
「そんなことを言う人間は何があっても誰もだ」
「普通に尊敬されないね」
「それどころか軽蔑される」
「そんなことを言った時点で」
「完全にな」
「そんなものだよね」
「尊敬されることの重みもわかっていない」
 こうもだ、留美さんは言った。 
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