八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二百四十八話 剣道家その七
「どうせな」
「悪党でも小悪党だしね」
「小悪党程醜悪だしな」
小物程卑しい、それが為だと思う。
「そうした奴だからな」
「将来は小悪党だね」
「そうなる、私はそんな奴とは関わらない」
「それがいいね」
「たまたま近くになってもな」
そうした場所にいることになってもというのだ。
「極力だ」
「近くにいない様に」
「していく」
「それがいいね」
「近寄ってきてもな」
そうした小悪党がというのだ。
「絶対にだ」
「相手にしたら駄目だよね」
「剣道をしていてもな」
「こうした奴いるってことだね」
「そうだ」
「心を鍛錬するものだけれど」
「剣道をしていて誰もが立派になるなら」
それこそというのだった。
「世の中実に楽だ」
「皆剣道をすればね」
「世の中聖人君子ばかりになりだ」
そうなってとだ、留美さんは僕に話してくれた。
「実に平和だ」
「そうなっているよね」
「しかしだ、剣道をしていてもな」
「心の方の鍛錬をしていない人もいるね」
「あらゆることでそうだな」
「何かをしていてそれで悪い人はいない」
「剣道をしている者でも悪人はいる」
断言、そのうえでの言葉だった。
「そうした屑もね」
「いてだね」
「害を為す」
「それでそうした奴とは」
「付き合ってはならない」
留美さんはここでも強い声で話した。
「私はそう確信している」
「関わりになったら」
「こちらが災厄を被る」
「碌なことにならないね」
「そいつに何かされたくないなら近寄らない」
「告げ口もするんだよね」
「自分が嫌いな相手と敵対する者に近付いて吹き込む」
自分で何かせずにだ。
「そうしてけしかける」
「僕が知っている奴もそうだったから」
幸いこの高校には通っていないそいつもだ。
「そいつより強くても」
「利用されるからな」
「本当に関わるだけでね」
「迷惑なことになるからな」
「付き合うべきじゃないね」
「そんな奴も見てきた」
留美さんの地元でだ。
「剣道は素晴らしいものだが」
「している人が誰もが人格を磨いているか」
「それは違うね」
「屑はいる」
現実としてそうだというのだ。
「残念だがな」
「本当に残念なことだね」
「心身を鍛錬するものだがな、だが」
「そいつは反面教師にしているね」
「この上なく嫌な奴だ」
留美さんは否定の感情をこめて言い切った。
「最低だった」
「最低って思うなら」
「自分はそこまで落ちないことだな」
「そうだよね。だからこそ」
「私はあいつを反面教師の一人にしている」
「絶対にそうなってはならない、だね」
「私がこれまで会った中で最低の人間の一人だ」
「僕そいつそっくりの奴知ってるからね」
その八条学園高等部に来なくてよかったと知っている人全員から言われているとんでもなく性格の悪い奴だ。
「そういう奴だって思うとね」
「わかるか」
「最低な奴だね」
「だから蛇蝎の如く嫌われていた」
「普通にそうなるね」
「そして私はな」
「そんな奴にならない様にだね」
このことがよくわかった。
「底意地が悪くてケチで図々しくてだよね」
「平気で嘘を吐くしな」
「弱い者いじめと告げ口、媚び諂いが得意で」
「君が言うままの奴だ」
「本当にそっくりな奴知ってるから」
「他人の出席簿を勝手に全部出席したものまで結石に書き換えた」
「それやったらさ」
そいつはそれはしていないけれどだ。
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