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夢幻水滸伝

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第百十二話 海から運びその十

「お肉はどうしてもね」
「多いけれどやな」
「安いお肉で」
「輸入肉のな」
「その分味が落ちるかもね」
「このお肉はあれやね」 
 ナツァグドルジは食べつつ言った、彼が今食べているのはうどんだ。それをすすりつつ酒も飲んでいる。
「和牛で」
「霜降りよ」
「それだけに味がちゃうな」
「すき焼きやしゃぶしゃぶにはね」
 愛はナツァグドルジにさらに話した。
「何といってもね」
「和牛だね」
「そやねん、霜降りの」
 この牛がというのだ。
「一番やねん」
「そうだよね、実際に食べても」
「美味しいし」
「味がちゃうな」
「それは僕もわかるよ」
 ナツァグドルジもこう愛に言った。
「実際にここで食べたから」
「そやね」
「モンゴルでは牛は殆ど食べないけれど」
「やっぱり羊?」
「そや、羊のお肉と乳製品が」
 この二つの料理がというのだ。
「主食やで」
「やっぱりそやね」
「それで牛肉は」
 もっと言えば牛乳もだ、遊牧民であるので農耕の家畜である牛のものはどうしてもというのである。
「食べへんから」
「そやね」
「けれどここで食べたら」
「美味しかったと」
「そうやったわ、すき焼きもしゃぶしゃぶも」
「和牛のステーキとか焼き肉はどやった?」
「そっちもな」
 ナツァグドルジは愛にさらに答えた。
「美味しかったで」
「それは何よりやね」
「普通のお肉のステーキよりも」
「またちゃうやろ」
「独特の感じで」
 和牛の霜降り肉のステーキや焼き肉はというのだ。
「美味しかったわ」
「そやね、ただ起きた世界やと」
 ここで愛はこんなことも言った。
「めっちゃ高いから」
「僕等が食べられるもんやないな」
「とてもやで」
 それこそという返事だった。
「ほんまに」
「何であんなに高い」
 真剣な顔でだ、梁は雑炊を食べつつ言った。
「和牛の料理は」
「手間暇がかかってるからみたいやで」
 その梁に李が話す。
「それでや」
「ああ、ビール飲ませたり世話が半端ないから」
「それでな」
 その結果というのだ。
「高くなるねん」
「人件費やら食費やらで」
「そやで」
「そこは日本ならではってことやな」
「只の牛やないから」
 それでというのだ。
「高いで」
「そやな」
「それでや」
 李はさらに話した。 
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