八条学園騒動記
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第五百三十七話 歓楽街は素通りしその七
「あの連中は傲慢でも誇りもなくな」
「本当の意味の誇りがだね」
「なくてじゃ」
それでというのだ。
「平気でそうした下劣な真似を繰り返した」
「というかマスコミが嘘吐いたらな」
それこそとだ、ライゾウが言ってきた。
「ネットがなかったらな」
「検証する場所があってもな」
「新聞やテレビの宣伝力は凄いのう」
「ネットよりずっと落ちるけれどな」
「それじゃ、ネットがない時代はな」
それこそというのだ。
「最強の宣伝媒体であった」
「そうなるよな、やっぱり」
「特にテレビはな」
新聞よりもというのだ。
「新聞は読むだけじゃが」
「テレビは観て聴くからな」
「目は六感で一番脳に訴えかける」
見る、その効果がだ。
「しかもテレビは聴くな」
「耳にも入るか」
「目と耳で一気に来るのじゃ」
「それだけに心にも残るか」
「だから強いのじゃ」
「新聞よりもか」
「雑誌よりもな、そのテレビが嘘を吐くとな」
どうなるかというのだ。
「とんでもないことになる」
「それが二十世紀の日本か」
「二十一世紀前半もじゃった」
そうだったというのだ。
「そしてそんな嘘を吐いてもな」
「それでもかよ」
「責任を取らずな」
「企業としてか」
「存在出来たのじゃ」
「物凄くとんでもない話だね」
タロは博士の話をここまで聞いて述べた、その顔がこれ以上はなく曇ったものになってしまっている。
「それって」
「マスコミは真実を伝えることが仕事じゃ」
「それで嘘吐いたらね」
「最悪の企業倫理違反じゃ」
そうなるというのだ。
「今だと責任を追及されてな」
「倒産も有り得るね」
「しかしじゃ」
「当時の日本ではだね」
「普通に大手を振って歩いてな」
長い間そうしていた。
「悪事を繰り返していた」
「知っていてだね」
「捏造を繰り返していた」
「もう何ていうか」
それこそとだ、タロはまた言った。
「当時の日本ってマスコミ天国だったんだ」
「うむ、マスコミのやりたい放題が七十年以上まかり通っていた」
「捏造垂れ流しが」
「マスコミ人個々の悪事もな」
それもというのだ。
「やりたい放題だった」
「汚職とかセクハラとか」
「全部じゃ、官僚の天下りは批判して」
「自分達はだね」
「自由じゃった」
「凄いダブルスタンダードだね」
「そのダブルスタンダードもじゃ」
このこともというのだ。
「普通であった」
「もう何でもありだったんだ」
「マスコミが第一の権力であり続けてな」
「しかも腐っていたんだね」
「腐敗の極みじゃった」
「どれ位腐ってたんだよ」
「中世のバチカンレベルであったな」
博士は人類の歴史上最も酷い腐敗であったというその頃のローマ教会を例えとして話した。
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