夢幻水滸伝
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第百十二話 海から運びその六
「やっぱり」
「というか食事に絶望した国やったな」
坪内はこの言葉をここで出した。
「イギリスの通称は」
「それだけまずいんやな」
田山は坪内のその言葉から実感した。
「要するに」
「そこまでまずいとなると」
腕を組んで真剣な顔でだ、セーラは述べた。
「恐ろしいですね」
「ハギスという料理はな」
玲子がそのセーラに話す、食べている牡蠣の鍋の美味さを味わいながら。
「あれはだ」
「ああ、スコットランドのお料理ですね」
「そうだ、羊の内臓の中に色々詰めているが」
「確か怪獣の様にですね」
「思われている」
「そうでしたね」
「ちなみに味はな」
ハギスのそれはというと。
「お世辞にもだ」
「やっぱりそうですね」
「とかくイギリスはな」
この国の料理はというのだ。
「期待出来ない」
「料理人の私としては」
「困る国だろうな」
「はい、フィジーはそこまでは」
とてもと言うのだった。
「いかないですから」
「そうだな」
「周りは海で」
島国であることも言うのだった。
「海の幸が豊富で」
「それが大きいな」
「はい、ですから」
「料理もだな」
「結構なものですが」
「イギリスでは海の幸もな」
「あまり、ですね」
「鱈や鮭位だな」
海の幸といっても、というのだ。
「後はロブスターか」
「その程度ですね」
「そして丘のものもな」
「あるにはあっても」
「土地が痩せているからな」
「しかも気温は寒冷で」
「どうしても料理は弱くなる」
そうした条件が揃ってしまっていて、というのだ。
「それは仕方ないか」
「そうなりますね」
「だからといって今もというのはないが」
「そやから何で二世紀世界帝国で駄目なんか」
黄はとかくこのことを言うのだった。
「そこが不思議や」
「香港は長い間イギリス統治だったけれど」
梁は故郷のことから話した。
「基本中華料理やから」
「中華料理やと」
それならとだ、ダイアナは梁に話した。
「それも広東やね、香港は」
「主流はな」
「それやと」
それこそというのだ。
「結構以上に」
「ええか」
「そうやと思うさかい」
だからだというのだ。
「ほんまにね」
「そこはちゃうか」
「そやから」
それでというのだ。
「美味しいで、そこにイギリスで数少ない美味しい」
「あれやな、ティーセット」
「あれも入ったさかい」
「程よく美味しいで」
「そやね」
「料理は香港や」
梁はこうまで言い切った。
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