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八条学園騒動記

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第五百三十七話 歓楽街は素通りしその三

「やっぱり」
「うむ、日本酒も楽しみその後でな」
「まだあるのかよ」
「風呂も楽しむ」
 こちらもというのだ。
「ここにはよい温泉もある」
「そうなんだな」
「温泉街は風俗街にもなる」
 博士はライゾウにこうした話もした。
「昔からそうじゃ」
「ああ、脱ぐからか」
「裸になる場所ではな」
 湯に入ってというのだ。
「やはりな」
「そうしたお店も出来やすいんだな」
「そういうことじゃ、尚な」
「尚?」
「昔はそこから性病も流行った」
 こちらの病気もというのだ。
「梅毒なりがな」
「それやばいだろ」
「うむ、実際そこから多くの人が死んだりした」
 梅毒に感染してというのだ。
「昔は死ぬ病であったからのう」
「今もあるしな」
 この病気は確かに助かる病気になり感染者もかなり減っている、だが完全に撲滅しきれていないのだ。
「何だかんだで」
「うむ、それでじゃ」
「梅毒になってか」
「死ぬ者も多かった」
「身体を奇麗にする場所なのにな」
「身体の中はな」
 そこはどうしてもというのだ。
「そうは出来なくてな」
「それでか」
「梅毒は防ぎ方があるが」
「それも当時は知識がなかったんだな」
「それでよく感染した」
「というかそうした店に入らないとよかったんだな」
「それは無理な者は無理じゃ」
 そうしたことが好きな者はというのだ。
「それでじゃ」
「どうしても感染する奴がいてか」
「その者からさらに感染してな」
「どんどん死んでいったんだな」
「そうした者も見てきた」
 その二百億年の人生の中でだ。
「わしはな」
「梅毒って怖かったんだな」
「昔は」
「例えば日本だとな」
 博士は今いる国の話もした。
「梅毒と脚気、結核でな」
「沢山の人が死んだか」
「そうだったんだ」
「江戸時代の終わりから明治にかけてな」
 この時代はというのだ。
「三大国民病だった」
「そんなに死んだのか」
「そうじゃ、脚気がよく言われるが」
「梅毒もだったんだな」
 ライゾウはあらためて言った。
「それで沢山死んでるんだな」
「ペニシリンなぞなかったのじゃ」
 特効薬がというのだ。
「だからじゃ」
「もう感染したらか」
「確実に死んでおった」
「身体が腐ってか」
「脊髄や脳がやられたりしてな」
「えげつねえな」
「それでボロボロになって死んでいったのじゃ」
 梅毒に感染して、というのだ。 
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