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ヘタリア大帝国

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TURN23 タイの話その二

「あの国は広いうえに自然環境も凄いからな」
「特に冬になるとです」
 また秋山が述べてきた。
「恐ろしいまでの寒さと吹雪で進めません」
「そうした国だからな」
「余計に、ですね」
「長期戦を覚悟している」 
 ソビエト戦はそうだというのだ。
「そして最初はだ」
「はい、ガメリカとの戦いですね」
「その準備をしよう」
 こう話してだ。彼等は彼等の戦いの用意をしていた。その彼等のところにだ。
 小澤が来た。小澤は海軍の敬礼からこう日本に述べた。
「お客様です」
「私にですか」
「日本さん、できれば東郷さんもですね」
「俺もということは」
「はい、国家のかなり重要なことです」
 それだとだ。小澤はいつも通り淡々と述べていく。
「既に山下さんにも報告がいっています」
「そうか。場所は皇居だな」
「すぐにそちらに行かれて下さい」
「わかった。では祖国さん」
「はい」
 二人は小澤の言葉を受けて互いに顔を見合わせた。そのうえでだ。
 すぐに皇居に向かった。帝の御前には既に山下がいた。そしてだ。
 柴神の横にだ。あの国がいたのだ。日本が彼の姿を見て言った。
「タイさんではないですか」
「お久し振りです」
 タイは柴神の横から日本に応えた。
「お元気そうで何よりです」
「はい、こちらこそ」
 タイは合掌で、日本は頭を垂れて互いに挨拶をした。そのうえでだ。
 柴神がだ。こう一同に言った。
「今回タイが来た理由だが」
「タイさんは中立国だな」
 東郷が言った。そのタイの立場から考えながら。
「そしてベトナム等エイリスの植民地に囲まれている。つまりだ」
「おわかりですか」
「ある程度察しがつく。彼等は独立したいんだな」
「そうです。日本帝国がエイリス帝国との戦争に入った場合です」
 タイは東郷に応えながら話した。
「植民地の諸国家の独立を支持して欲しいとです」
「あちらから要望があったんだな」
「その通りです。このことを伝えに来ました」
「そうか。それでなんだな」
「日本帝国としてはどうでしょうか」
 東郷に話してからだ。タイは帝や山下、そして日本にも話した。
「エイリスの植民地の独立は」
「どう思われますか?」
 帝は己の決断より前にだ。山下と日本に彼等の考えを問うた。
「このことについて」
「是非共。独立を支持すべきです」
 山下は即座にだ。血気にはやった感じで答えた。
「そもそも植民地の民を一部の貴族が虐げ搾取するなぞ人倫に反します」
「山下はそう考えているのですね」
「はい、ここはむしろエイリスに攻め込みです」
 その正義感のままだ。山下は右手を拳にして帝に話す。
「彼等を解放し独立してもらいましょう」
「そうすればです」
 タイもここで言う。彼も考えて言っている。
「ベトナムさん達は貴国の頼りになる同盟国になってくれますよ」
「そう。それならばです」
 拳を振りかざしながらだ。山下はさらに言う。
「我等の苦境も脱せます。同盟国が手を差し伸べてくれるのですから」
「では祖国さんはどう思いますか?」
 山下の正義感と義侠心が前面に出た意見の後でだ。帝は日本にも意見を求めた。
「このことについては」
「やはり。私もです」
「賛成なのですね」
「はい、私も植民地は好きではありません」
 日本もだ。植民地というものには好意的ではなかった。
 
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