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ヘタリア大帝国

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TURN22 各国の会議その十三

「日本が盟主であろうとも」
「そうなるかと」
「なら日本だな」
 この国につくべきだとだ。ベトナムは決めたのだった。
「あの国だ」
「そうですね。日本さんが一番いいと思います」
「私達にとってはな」
「それにあの国には神様もおられます」
「柴神といったか?」
 ベトナムは日本にいるその神のことはあまり知らなかった。
「そういったな」
「はい、犬の頭と尻尾を持つ神様です」
「おかしな神だな、犬と人の合いの子か」
「御会いになられたことは」
「実はあまりない。日本は長い間鎖国をしていたからな」
 それも理由だというのだ。柴神を知らない。
「人間の言葉も使うがな」
「その神様にもお話しておきましょうか」
「頼めるか。では私達はだ」
「はい、その時が来ればですね」
「独立を宣言する」 
 ベトナムは強い顔になってタイに答えた。
「そして日本につきそのうえで」
「日本さんが主軸の太平洋経済圏に参加されますね」
「独立してからも問題だからな」 
 それでハッピーエンドではないというのだ。むしろ独立してからどうなっていくのか、国家にとってもそこにいる国民にとってもそれが重要だというのだ。
 それ故にだ。ベトナムは判断したのである。
「大国に従うというのは本意ではない」
「それでは植民地と変わらないですね」
「大してな。ガメリカの四姉妹は高圧的なところがある」
「そしてシュウ皇帝も」
「連中が太平洋の主導権争いをすることも考えられるが」
「ソビエトという共通の敵がいますから」
 ソビエトをロシアに変えてもだ。何の違いもなかった。
「そして日本さんもまた」
「両国の主導権争いよりもな。日本やソビエトを叩く方が可能性が高い」
 ガメリカ、中帝国にとっては日本もソビエトも目の上のタンコブだというのだ。
「それではな」
「両国の対立よりも」
「手を組んでの専横の方が可能性が高い」
「ですから。我々としましては」
「日本に主導権を握って欲しい」
 ベトナムは冷静な目で判断を述べた。
「そしてだ」
「そしてですね」
「おそらく太平洋での主導権争いの戦争の後はソビエトだな」
 この国との戦いもだ。避けられないというのだ。
「あの国は共有主義を世界に広めようとしている」
「それを旗印にしても人類世界支配ですね」
「共有主義は恐ろしい思想だ」
 ベトナムもだ。ここでは表情を凍らせた。そのうえでの言葉だった。
「あんな思想が人類を支配すればどうなる」
「何もかもが破壊されますね。彼等は家族も貨幣経済も否定していますし」
「そうだ。あの国だけは、共有主義だけは何とかしなければならない」
「ある意味においてエイリス以上に厄介ですね」
「そう思う。そのソビエトとの戦いだが」
「太平洋の全ての国で挑むべきですね」
 これがタイのソビエトへの戦略だった。その表情も目の光も穏やかだがそれでもだ。その言葉はしっかりとした、寸分も動かないものだった。
 そのしっかりとした言葉でだ。彼は言うのだった。
「そして全力で。共有主義も根絶しなければ」
「後々厄介なことになる」
「既に各国にシンパが出て来ています」
 タイはベトナムにこのことも話した。
「そして工作を開始しています」
「私達の民族主義と共有主義が重なるとな」
「おかしな大義名分も与えてしまいますね」
「だからだ。太平洋での戦いは日本に勝ってもらい」
「そのうえでソビエトと戦いましょう」
「では日本に私達の考えを伝えてくれ」
「はい、それでは」
 タイは微笑んでベトナムの言葉を快諾した。こうしてだった。
 タイは密かに日本に向かった。原始の八国以外の国々も動いていた。彼等にも彼等の思惑があるが故に。


TURN22   完


                        2012・5・8
 
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