八条学園騒動記
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第五百三十六話 山に行くとその五
「二十センチ以上違うから」
「頭一つ出てるな」
「大久保さんは一七七あった」
「へえ、その人も大きかったんだな」
「西郷さんと同じ位だね」
「これはどうも豚を食べていたせいだ」
その為だというのだ。
「薩摩藩では昔から豚を食べておってな」
「それで西郷さん達もか」
「大きかったんだね」
「ちなみにわしはこの時も日本におった」
このことは今も同じである。
「地球での拠点はずっと同じじゃ」
「日本でか」
「ずっとその恰好なんだね」
「うむ、それで背は当時は一七五であった」
「随分高いな」
「当時から見ればね」
「それで大男の妖怪仙人と呼ばれておった」
それが当時の博士の仇名だったというのだ。
「これがのう」
「妖怪仙人かよ」
「うむ、そう呼ばれておった」
ライゾウにもそうだと答えた。
「ずっと生きていて悪事ばかり為すと言われてな」
「そこは一緒だな」
まさにとだ、ライゾウは博士に述べた。
「ずっと生きていて悪さばかりすることはな」
「危険な実験や大量破壊兵器の開発や小悪党を殺すことがか」
「全部凶悪犯罪だよ」
タロが博士のその言葉に突っこみを入れた。
「文字通りのね」
「そう言うか」
「当時の日本でもそうだよね」
「奉行所からしょっちゅう人が来た」
「江戸の?」
「大坂におった時もあったが」
この時もというのだ。
「江戸の南北、大坂の東西の奉行所からじゃ」
「いつも人が来たんだ」
「当時の江戸は市中で刀を抜くと切腹であった」
このことで刃傷沙汰を防いでいたのだ。
「ちょっと槍を持って歩いておっても奉行所から来た」
「凄い警戒しているね」
「江戸はそうしたところであったからのう」
「博士がちょっと何かしたら」
「すぐに奉行所から人が来た」
そうだったというのだ。
「もう毎日みたいに来てじゃ」
「刀よりもっと危ないもの一杯使ったからだね」
「例えば岡っ引き崩れを捕まえてじゃ」
柄の悪い岡っ引きも多く幕府も何度か岡っ引きを禁じている、尚岡っ引きが悪事を為して牢に入れられると大抵他の罪人達にいじめ殺された。
「大砲に入れて弾丸にしてな」
「殺したんだね」
「そうしたらじゃ」
「奉行所から人が来たんだ」
「うむ、市中で大砲を使い撃つなぞ言語道断とな」
「しかも人殺してるし」
「それで奉行所から人が来てじゃ」
そうしてというのだ。
「わしを捕まえようとしてきた」
「当然だね」
「槍で来るなら大砲だと絶対だろ」
ライゾウも当然という評価だった。
「駄目だろ」
「速攻で来たわ」
「そうだよな、やっぱり」
「全く。岡っ引き崩れを大砲の中に入れてじゃ」
「ぶっ放したんだな」
「花火と一緒に付けてな、そうしたらな」
博士はライゾウにその時自分がしたことをさらに話した。
「空高く打ち上げられてじゃ」
「花火と一緒に爆発だよな」
「そうなってな」
実際にというのだ。
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